2018年01月29日
忍者、忍術と聞けば、遠い昔話のようなイメージがありますが、
現代にそれを受け継いでいる人がいます。
甲賀伴党二十一代宗師家の川上仁一さんです。
川上さんが語る忍者、忍術とは、どのようなものなのでしょうか。
川上 仁一(甲賀伴党二十一代宗師家)
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※『致知』2018年2月号
※連載「活機応変」P56
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──川上さんは甲賀流忍術の伴党忍之伝を継承する
「現代に生きる忍者」として国内外でご活躍です。
忍者といっても、呪術、武術を駆使する暗殺者とか、
だいたいは誤解された忍者、
変容された忍者像が真実のように思われています。
もう一方には、忍者は本当に存在したのか?
という懐疑的見方もありますし、
非常に広い幅で忍者は捉えられてきたんです。
ですから、忍者の術技や歴史などを含め、
学術的な研究をしたいという思いがずっとあったんですが、
2011年に三重大学が日本で初めて忍者と忍術を
総合的に研究することを決めたんですね。
それで、私も縁あって三重大学社会連携センターの特任教授にしていただき、
多くの先生方とともに、研究はもちろん、様々なイベントを含めて、
忍者の実体を伝える活動に取り組んできました。
──これまで忍者・忍術研究というのは日本になかったのですか。
ほぼないです。学問的な総合研究は全くといっていいほどありませんでした。
あっても学術的じゃないんですよ。
フィクションが入ったり、事実に基づかない伝承が書いてあったり。
──一方の海外では、「NINJYA」として関心が高いようですが。
そうですね。私も大学や行政の支援のもと、
国際交流や地域振興も兼ねて毎年海外に行かせていただいていますが、
モンゴル、フランス、イタリア、ブルガリア、
アメリカ、2017年はベトナムにも行きました。
もうすぐ20か国近くになるんではないかな。
──海外の人には、どのようなことを伝えているんですか。
海外での私の担当は、忍術の伝承や実技、
忍者の心構えといった精神的な部分の講義に加え、
「抜き足」「差し足」などの歩き方、心身を統一する呼吸法などを、
実演を交えて分かりやすく説明しています。
講義後には、質問コーナーを設けているのですが、
興味本位の質問はまずありません。
関心がある方が聞きに来ているので当然かもしれませんが、
真面目に忍者について知ろうとしていますし、
すごくマニアックな質問もあります。
後から詳しくお話ししますが、
例えば、「忍耐が大事」「感情を表に出さない」とか、
忍者っていかにも日本的なんですよ。
これからもそうした部分を海外の方に理解してもらうことで、
日本の素晴らしさを知ってほしいですし、
海外の関心の高まりによって、
逆に日本人がもっと忍者や忍術に目を向けてくれればと願っていますね。
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