「はとバス」人気ツアーの秘密

工場の夜景見学や、屋根のないオープンバスによる桜見物など
「はとバス」のユニークな企画が人気を集めています。
企画の生みの親で旅行プランナーでもある江澤伸一さんに
発想力の秘密についてお聞きしました。

江澤 伸一(はとバス観光バス事業本部企画旅行部長)
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※『致知』2018年1月号
※特集「仕事と人生」P42
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本社の定期観光部勤務になったのは2009年、41歳の時です。
そこでの仕事は「はとバス」の都内観光プランを考えることなのですが、
正直、材料は発掘され尽くされた感がありましてね。

──ああ、皇居と浅草と東京タワーと……。

そうそう。定番のコースだけじゃ皆飽きていて魅力がない。
でも僕はたとえ非定番のコースであったとしても
それが面白かったら定番のコースも売れるだろう、と考えました。



そのためにまず、一都三県に住む4,000万人に
「はとバス」は面白いというイメージを持っていただき、
地方からもたくさんお客さまを呼び込むことが大事だと思ったんです。

非定番のコースを探すのに、
都内やその周辺地域であればプライベートで気軽に足を運ぶことができます。

何気ない日常の点と点を繋ぎ合わせることで
一歩踏み込んだストーリーの提案ができないかと考えていて、

ある時思いついたのが川崎の工場夜景ツアーでした。

──工場の夜景を見るという発想はなかなか生まれません。

このツアーのアイデアが生まれたのは、全くの偶然でした。
千葉の木更津から川崎方面に車を走らせていた時、
見たこともない光景が目に飛び込んできたんです。

夜間照明に照らされて煌煌と輝く
川崎港沿岸に建つ工場の群れの美しさは尋常ではありませんでした。
「これはひょっとして、ツアーの企画にできるんじゃないか」
という突拍子もないアイデアが閃いたのはこの時でしたね。

──そのアイデアはすぐに会社に受け入れられたのですか。

「川崎の工場? そもそも観光地じゃないだろう」と一蹴されました。
当時「はとバス」の60年の歴史の中で、
川崎に観光に行こうなどとは誰も考えませんでしたから、当然ですよね(笑)。

しかし、僕は長年の経験則で、何が売れるか売れないかは大体読めるんです。
元来、時間が掛かる面倒な説得や交渉は嫌いなほうですが、
このハードルは越えられるという自信がありましたから、
自分なりに粘って説得を続けて、このツアーを実現させました。

──異例のメガヒットとなったそうですね。

このツアーが幅広い支持を受けた理由は……

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