現場一筋60年──トヨタ自動車の〝おやじ〟が語る、トヨタのものづくりの神髄〈河合満〉

販売台数で5年連続世界一に輝くトヨタ自動車。そんなトヨタのものづくりの現場を60年にわたり支えてきたのが〝おやじ〟こと河合満氏です。技能系出身として同社初の副社長に抜擢され、いまも朝6時出社で後進の育成に邁進する河合氏が語る、トヨタのものづくりの神髄──。
(本記事は『致知』2026年1月号 インタビュー「一生挑戦 一生勉強」より一部を抜粋・編集したものです)

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改善なくして改革なし

──現場でトヨタの改善魂を叩き込まれたのですね。

<河合>
「改善なくして改革なし」と僕は言っているんだけど、トヨタ生産方式の仕組みをうまくやるには、改善が絶対に必要。自分の部門とか身の回りのことでもっと皆が楽にやれるように小さな改善をしなさいと。そして、改善するためにはまず問題を顕在化しなければいけない。

昔はアンドンの紐を引っ張れという教えがあって、何か異常があったらその紐を引っ張ってラインを止める。止めることによって問題が顕在化し、皆でその問題を解決していく。いまは1人ずつスマートウォッチを持たせているからより早くどこで何が起こっているかを把握することができる。

トヨタ生産方式をやる前にまず整理整頓をして、正常異常が見分けられるように一人ひとりに意識を持たせることが大事です。一部のリーダーがやればいいわけじゃなくて、全員が意識しないとうまくいかない。

──一人ひとりが改善を意識する。

<河合>
だから、当社には従業員が業務改善を提案する「創意くふう」という制度が昔からあり、技能者養成所で最初に教わったのが創意くふうの書き方でした。正しく定量的に書き、効果が出れば、賞金がもらえる。当時は提案が実施されれば最低でも1件500円だった。若い頃は仲間と競い合って月に50~60件くらい創意くふうを書いとったから、残業代よりたくさん稼いだこともあります。挙って出し過ぎて制限されたくらい(笑)。

でも、お金がもらえることより、仲間が喜んでくれることが一番のモチベーションでしたね。僕が昼勤でやった改善を、夜勤の相棒に「あれすごくいいぞ。楽になった」と言ってもらえたことが改善に目覚めたきっかけです。人に喜んでもらうことほど嬉しいことはない。

個人が出す創意くふうが元になって、社内の改善が生まれ、大きな改革に繋がっていくんです。

──数ある改善の中で、特に思い入れの強いものは何ですか。

<河合>
もう挙げれば切りがないんですけど、例えば、一つの機械で複数の部品をつくるので、部品をAからBに変更する時、金型や材料などを交換・調整するんですが、その作業のことを段替えといいます。段替えの時間が短ければ短いほど、小ロットの生産化ができ、コストを削減して生産性を高めることができるわけです。

最初は2時間くらいかかっていたんですよ。5種類の部品をつくって2時間ずつだと10時間、つまり1日分ムダが発生してしまう。それで仲間と一緒にプロジェクトを立ち上げ、改善を重ねて40分くらいになった。で、さらにそこからシングル段替え(10分以内の金型交換)をやろうと。

品質と安全を守りながら、どうしたら早くできるか。機械を止めてから全部交換するのではなく、外で次の型を用意しておくとか、人の動きを一筆書きのようにするとか、2年ほどかけて最終的には9分にしたんです。30歳前後の時です。社内で表彰され、いろんなところで発表する機会もいただきました。

──2時間かかっていた作業を9分に短縮された。

<河合>
当然、簡単にポンとできたわけじゃない。一つひとつの積み重ねですね。上に近づけば近づくほど、もうこれ以上はムダがないように見える。だから、苦労したけど、やりがいがありました。


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◆トヨタの〝おやじ〟が60年欠かさない習慣
◆3K職場の鍛造部に骨を埋める覚悟
◆鈴村さんの叱責と張さんのフォロー
◆創意くふうで作業時間を10分の1以下に改善
◆固辞した副社長昇進を引き受けた理由
◆きょうのベストは明日のベストとは限らない

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◇河合 満(かわい・みつる)
昭和23年愛知県生まれ。38年中学校卒業後、トヨタ技能者養成所(現・トヨタ工業学園)入学。41年トヨタ自動車入社。平成4年本社工場鍛造部工長、17年同部長。25年技監。27年同社技能系初の専務役員に就任。29年副社長。令和3年1月よりExecutive Fellow(おやじ)。

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