2026年01月05日
栃木県内に商圏を絞り、「地域一番化戦略」で圧倒的シェアを誇るサトーカメラ。同社副社長の佐藤勝人さんはビジネス書作家として12作目を出し、商業経営コンサルタント、Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」と情報発信を含め、全国各地の商工会議所で講演やセミナー、さらに企業や商店の現場へ出向いて個別支援をし、経営者育成塾「勝人塾」も主宰されています。
本連載ではそんな佐藤さんに、現代ビジネスマンから寄せられた悩みや胸の内の葛藤、さらには社会情勢までも「勝人節」でズバッと答えていただきます。
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経営とは、感情論ではない
リハビリの世界で知られる「ショック→否認→混乱→努力→受容」という5段階プロセスは、障害・病気・喪失といった〝大きな出来事〟に直面した人が心理的に乗り越えていくためのプロセスであり、主にリハビリテーションの現場で整理されていた。
私は経営の世界に身を置いて今年で43年、さらに経営コンサルタントとして全国の現場を26年見続けてきて、ふと気づかされた。人が逆境を突破し、次のステージに進むまでには、この5段階プロセスがそのまま「経営の構造」になっているという事実だ。これは単なる心理学ではない、経営者の意思決定そのものに関わる、成長メカニズムでもある。つまり、心理学が扱う「生の逆境構造」は、経営が扱う「変革・危機の構造」と全く同じ。ここからが勝人流。抽象的な心理学モデルを経営に使える概念へと翻訳してみた。
◎第1の「ショック期」=現実停止
突然の出来事に、脳が現実に追いつかず固まる。これは弱さではない。生存本能の自然反応である。業績の急落、組織の崩壊、裏切り──何が起きても最初は凍りつく。これは誰も避けられない、人間の初期設定みたいなものだ。
◎第2の「否認期」=過去依存
「そんなはずはない」「うちは大丈夫だ!」
脳が自分を守るために現実を拒む段階だ。多くの中小企業は、この否認期で足をすくわれる。数字が落ちているのに直視せず、過去の成功体験にしがみつく。否認とは、感情の問題ではない。覚悟不足の問題だ。現実を受け止める体力がまだ整っていないだけである。
◎第3の「混乱期」=価値観崩壊
「怒り、不安、落ち込み、自己否定」
もっとも苦しいが、もっとも価値のあるフェーズだ。私は全国の経営者を見てきたが、混乱から逃げる人に、再生した人はいない。混乱とは、古い価値観が崩れ、新しい価値観が芽生える境界線。この揺れ幅こそが、変化のエネルギー源になる。 混乱を突破できない人は、永遠に昨日の自分を生きることになる。
◎第4の「努力期」=改革の初動エンジン
「負けてたまるか」「このまま終われるか!」
ようやく矢印が未来へ向く段階だ。行動が再始動し、自ら現実を書き換え始める。 経営でいえば「改革の初動エンジン」に火がついた瞬間だ。ただし、努力期とは「頑張る期」ではない。「現実を受け止めたうえで、未来を選び直す」 実質的なスタートである。
◎第5の「受容期」=新モデル確立
「受け入れる」という意味だ。苦しい現実も、過去の自分も否定しない。そのうえで、新しい自分として生きる覚悟が固まる段階。ここに来て初めて、人は未来の物語を書き直すことができる。
経営も人生も、この5段階プロセスからは逃れられない。逆境とは、「人を更新せよ」と迫る、成長プロセスそのものだ。 私自身の経験も含めて常々こう思っている。
「人は逆境を通して、自分を再構築するから強くなるのだ」
経営とは、感情論ではない。 現実を受け入れ、明日を選び直し続ける作業である。このプロセスのどこに自分が立っているのかを自覚した時、人はようやく前へ進める。そして、経営者は逆境を越えるたびに、一段深く、一段強く、一段しなやかに育つ。
2026年、これから何が起ころうが、逆境は、私たちの歩幅を止めるどころか、さらに広げてくれるだろう。それでも前へ進むのが経営であり人生だ。
今年も1年お付き合いのほど、ヨロシクお願い申し上げます。Going My Way.
◇佐藤勝人(さとう・かつひと)
サトーカメラ代表取締役副社長。日本販売促進研究所.商業経営コンサルタント。想道美留(上海)有限公司チーフコンサルタント。作新学院大学客員教授。宇都宮メディア.アーツ専門学校特別講師。商業経営者育成「勝人塾」塾長。(公式サイト)
栃木県宇都宮市生まれ。1988年、23歳で家業のカメラ店を地域密着型のカメラ写真専門店に業態転換し社員ゼロから兄弟でスタート。「想い出をキレイに一生残すために」という企業理念のもと、栃木県エリアに絞り込み専門分野に集中特化することで独自の経営スタイルを確立しながら自身4度目となるビジネスモデルの変革に挑戦中。栃木県民のカメラ・レンズ年間消費量を全国平均の3倍以上に押し上げ圧倒的1位を獲得(総務省調べ)。2015年キヤノン中国と業務提携しサトーカメラ宇都宮本店をモデルにしたアジア№1の上海ショールームを開設。中国のカメラ業界のコンサルティングにも携わっている。また商業経営コンサルタントとしても全国15ヶ所で経営者育成塾「勝人塾」を主宰。実務家歴39年目にして商業経営コンサルタント歴22年目と二足の草鞋を履き続ける実践的育成法で唯一無二の指導者となる。年商1000万〜1兆円企業と支援先は広がり、規模・業態・業種・業界を問わず、あらゆる企業から評価を得ている。最新刊に『地域密着店がリアル×ネットで全国繁盛店になる方法』(同文館出版)がある。Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」でも情報発信中。
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