31歳でプロボクサーに転身したシングルマザーがどんなオファーも断らない理由

2023年9月、タイでWBCアトム級シルバー王座を獲得した女子プロボクサー・葉月さなさん。世界で活躍を続ける葉月さんですが、実は31歳でプロデビューに至るまで、運動経験がない、一介のシングルマザーでした。いかにして実力を磨き、世界タイトルの舞台まで駆け上がったのか。葉月さんが腕を磨くために心掛けてきたことをお話しいただきました。

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どんなオファーも決して断らない

──入門翌年の2014年に30歳でプロデビューを果たし、そこから4連勝なさったそうですね。

〈葉月〉
ボクシングを始めた時から、世界タイトル戦で日の丸を掲げる自分の姿をゴールに思い定めていました。

ですからそこに辿り着くまでには、とにかく勝ちを積み重ねなければいけないんですね。

ボクシングは実力別に階級が分かれていて、一番下のC級からスタートして、世界チャンピオンに挑戦できるA級に上がるには、最短でも7回勝たなければいけません。

1回負けるとその分回り道になるので絶対に落とせない。そんな思いで一戦一戦臨んできました。

──練習ではどんなことを心懸けましたか。

〈葉月〉
心懸けたのは、怠けないこと。

試合まで30日間あるとすれば、相手も同じように30日間練習するわけで、自分が一日怠けてしまえば、それは取り返しのつかない遅れになります。

試合を迎えた時に、相手よりも積み上げたものが少なかったということになりたくないので、決して怠けない。

それから、ボクシング選手って、何らかのスポーツをやってきた人がほとんどなんですけど、私にはバックボーンが一切ありません。

もう気持ちしかないわけです。だから、2分練習するなら4分と感じるくらいの集中力でやろう。5キロ走るなら昨日の自分より速く走ろう。そんなふうに、常に常に前の自分に勝つことを意識して真剣に打ち込んできました。

──常に前の自分に勝つ。

〈葉月〉
試合に対しても、常に挑戦する気持ちを失わないよう心懸けてきました。

どんな不利なオファーも絶対に断らないんだと。

私はC級の試合を一度も落とさずにB級に上がったんですけど、その時に格上のA級の選手から試合のオファーをいただいたんです。

周りは皆反対でした。絶対勝てないからやらないほうがいいって。

もちろん私も負けたくはありません。

でも、負けるからやらないというのは違うんじゃないかって思ったんです。

負けを回避しながらゴールに立った自分に胸を張れるだろうか。苦労して辿り着く道だからこそ意味があると思って、そのオファーを受けたんです。

結局負けたんですけど、どんなオファーも断らないという姿勢は、その時に定まりました。

その後も何度か受けないほうがいいといわれた試合があったんですけど、すべて受けてきましたね(笑)。

──どんなオファーも断らずに、戦い続けた。

〈葉月〉
3、4年経ってボクシングをうまくやれているつもりになっていた時期に、自分より経験の浅い選手に負けたことがありました。

うまくやろうとしていたことに後で気づいて、そうじゃないなと。

常にがむしゃらに気持ちをぶつけていくのが自分の戦い方じゃなかったかって。息子や弟に見てほしいのは、ボクシングのうまい私じゃない。

どんな相手にも立ち向かっていくのが私だと思い直して、また挑み続けたんです。


どんな強敵にも臆することなくリングへ上がり続ける葉月さん。しかし、その輝かしい栄光の裏には、恵まれぬ家庭境遇、愛する家族との別れがありました。どんな逆境にも立ち向かう力はどこから来るのか。本記事ではボクサーに転身する背景を詳細に語っていただきました。

◉『致知』12 月号特集「敬、怠に勝てば吉なり」◉
インタビュー〝「私はなぜリングに上がり続けるのか」“
葉月さな(女子プロボクサー)

 ↓ インタビュー内容はこちら!

◆自分自身も憧れる「葉月さな」ありたい
◆もし世界の舞台にあることができたら
◆暗くなるまで母を探し続けて
◆返信できなかったメッセージ
◆弟に、そして我が子に届けたい思い
◆夢の舞台に立った後で
◆一分一分自分と戦い続けて

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◇葉月さな(はづき・さな)
福岡県生まれ。スポーツ未経験でボクシングを始め、30歳でプロデビュー。令和元年OPBF女子東洋太平洋ミニマム級王座に挑み、初タイトル獲得。3年IBF女子世界ミニマム級タイトルマッチに臨む。判定で敗れたが、デビュー7年で世界王者への挑戦を実現した。5年WBC女子アトム級シルバー王座獲得。

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