神様の人生最後のプレゼント

人間として生まれた以上、
「老い」は誰もが直面することになる問題です。
もし、体が思うように動かせなくなったり、
寝たきりになったような時、
その人にできること、人に喜ばれることはないのでしょうか。

シスターの鈴木秀子さんは
「神は人生の最後にいちばんよい仕事を残してくださる」といいます。
『致知』3月号の鈴木さんの連載は
老いを充実させるヒントに満ちた内容です。



鈴木 秀子(国際コミュニオン学会名誉会長)
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※『致知』2018年3月号【最新号】
※連載「人生を照らす言葉」P114

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人間には誰かが喜ぶことをしたいという神性が備えられています。
では、体を動かすことすらままならなくなった状態では、
誰かに喜びを与えることはできないのでしょうか。

そうではありません。手足は動かせなくても
温かい感謝の言葉をかけてあげたり、
笑顔で接してあげたりすることはできます。
それすらできなくなったとしても、
頭さえしっかりしていれば誰かのために祈ることはできるはずです。
 
以前、本欄で紹介した、上智大学学長を務めた
ヘルマン・ホイヴェルス神父の「最上のわざ」という
詩の一部を改めて味わってみましょう。

老いの重荷は神の賜物。
 古びた心に、これで最後のみがきをかける。
 まことのふるさとへ行くために─。
おのれをこの世につなぐくさりを少しずつはずしていくのは、真にえらい仕事|。
 こうして何もできなくなれば、それをけんそんに承諾するのだ。
神は最後にいちばんよい仕事を残してくださる。
 それは祈りだ|。
 手は何もできない。けれども最後まで合掌できる。
 愛するすべての人のうえに、神の恵みを求めるために─。
すべてをなし終えたら、臨終の床に神の声をきくだろう。
「来よ、わが友よ、われなんじを見捨てじ」と|。

子や孫が喜んでくれる何かができることは、年を取ってからのささやかな喜びです。
しかし、その喜びすら取り去られてしまう時がやってきます。
絶望に打ちのめされそうになる中、神様が残してくださった「いちばんよい仕事」、
それが「祈り」だとホイヴェルス神父は言うのです。
 
先年亡くなった渡部昇一先生は敬虔なクリスチャンでしたが、病の苦しみにあっても、
自分の苦しみが他の誰かの幸せの種になるよう祈り続けられました。
他の幸せのために苦しみを捧げられたのです。
若い頃から修養と信仰に生きてこられたからこその先生の神々しい姿でした。

「あなたの若き日に、あなたの造り主を覚えよ。悪しき日がきたり、
年が寄って『わたしにはなんの楽しみもない』と言うようにならない前に」

という『旧約聖書』の言葉があります。
 
老いは一気に来ることはありません。若い頃からの心の訓練の積み重ねが、
老いにどう向き合えるか、その姿勢を決めるのです。

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