「皆に喜んでもらえることが何にも代えがたい幸せ」——サイゼリヤ創業者・正垣泰彦の原点

2022年に創業55年の節目を迎え、現在国内外に1,500店舗を構える世界最大のイタリアンチェーン「サイゼリヤ」。21歳の時に千葉県市川市の17坪の洋食店からスタートし、今日の繁栄を導いてきたのが、正垣泰彦氏です。氏の底知れぬ情熱はいかにして育まれたのでしょうか。飲食業との出逢いを振り返っていただきました。

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「おまえには素質がある」

飲食業と出逢ったのは、大学3年生の時だった。新宿三越前にあった「渋谷食堂」には一年中アルバイト募集のビラが貼られていて、ずっと不思議に思っていたのだ。従業員に話を聞くと「大変だから入ってもすぐに辞めていく」と。それほど辛い仕事とはどれほどのものなのだろうか。ますます興味が湧き、働くことに決めた。

最初に任された仕事は皿洗い。一番きつくて誰もが逃げ出すと知り、やらせてくれと願い出た。いざやり始めると、このバイトが楽しくてしょうがない。

従業員のおばちゃんを休憩させてあげるために彼女の分まで皿を洗ったり、大きいバケツ5個にもなるゴミ袋を4階から1階まで1人で運んだり。皆に喜んでもらえることが何にも代えがたい幸せで、人が嫌がる仕事も率先して引き受けたものだ。

加えて、コック長に頼まれた馬券を買いに行くと可愛がられ、料理の秘伝を手取り足取り教えてくれた。調理の深奥な世界に触れるたび、一層バイトが面白くなる。たちまち店中に評判が広まり、皆から頼られるようになった。

そうした前向きな姿勢が評価されたのだろう。大学4年生の時、コック長に「おまえには素質がある。俺たちも辞めてついていくから、独立しないか」と声を掛けられたのだ。

当時は経営なんて考えてもいなかった。けれど、コック長に何度も勧められて根負けする形で独立を決意。社員6名を引き連れ、親父の伝手で紹介された千葉県市川市にある17坪の土地に洋食店を開店した。1967年、大学在学中の21歳の時である。


(本記事は月刊『致知』20252月号 連載「二十代をどう生きるか」より一部抜粋・編集したものです)

~本記事の内容~
◇手を差し伸べてくれた恩師
◇運命を変えた母の言葉
◇かくして繁盛店へと導いてきた
◇最悪の時こそ最高である

本記事では全3ページにわたって、正垣氏の若かりし歩みを振り返っていただきました。度重なる困難を乗り越えてきた正垣氏の体験談には、仕事・人生を発展させていく秘訣が凝縮されています。【詳細・購読は下記バナーをクリック↓】

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2年前に取材を受けた後、これもご縁だと思って『致知』を読むようになった。驚いたことに、そこに登場される方々は難解な宇宙の法則をそれぞれの実体験を通して証明してくれている。「そうだ、そうだ」と共鳴できるし、同時に反省も促される。月初に届くと数日間で全部読み終え、「早く来ないか」と次号が待ち遠しい。こんなに面白くて読むのが楽しみな雑誌は他にない。 

◇正垣泰彦(しょうがき・やすひこ)
昭和21年兵庫県生まれ。42年東京理科大学4年次に、レストラン「サイゼリヤ」を千葉県市川市に開業。43年同大学卒業後、イタリア料理店として再オープン。48年マリアーヌ商会(現・サイゼリヤ)を設立、社長就任。平成12年東証一部上場。21年より現職。著書に『サイゼリヤの法則』(KADOKAWA)など。

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