「自分の魂の声を大切に」——片岡鶴太郎の挑戦を支える考え方

お笑いで一躍大ブレークを果たした後も、演劇、ボクシング、絵画、ヨーガと、新しい世界に果敢に挑戦し、自身の可能性を追求し続ける片岡鶴太郎さん。鶴太郎さんを突き動かすものはいったい何か。その旺盛なエネルギーの源に迫ります。

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自分の魂は何を求めているか

〈片岡〉
僕は子供の頃から、心の奥に響いてくる魂の声のようなものを大切にしてきました。

僕はこれを「腹の主」と呼び、道を選ぶ時にはいつも「腹の主」が喜ぶほうを選んできました。

お笑い芸人からスタートして、演劇、ボクシング、絵画、ヨーガと、いろんなことに挑戦してきたのも、「腹の主」が歓喜することに素直に従ってきた結果なんです。

お笑い芸人は、物心ついた頃から目指していました。高校を出たらすぐにこの仕事をやるって決めていたんです。

ただ、実家は芸能界とは全く縁がありませんでしたから、芸能界に入るったって雲を掴むような話でね。どうやったら芸能界に入れるのか、もうそのことばっかり考えていましたね。

それで、何の伝もないのに喜劇女優の清川虹子さんのお宅へ弟子入りをお願いしに行ったんですけど断られ、そこで1回道を断たれたんです。

でもどうしても諦め切れなくて、声帯模写の片岡鶴八師匠に手紙を書いて、何とか弟子にしていただくことができました。

それは嬉しかったですね。これで念願の芸能界との繋がりを持つことができた。あとは自分の努力次第だと。

落語の指導というのは口伝で、師匠をお手本にマンツーマンでネタを教わっていくんです。でも、僕の場合はものまねですから、師匠のネタをそのままやってもしょうがない。

「おまえさんがネタを持ってきたらアドバイスしよう」というやり方でした。

有り難かったのは、「芸人ってのは売れなきゃ食えないからな」と、この道で生きていくことの厳しさを教えていただいたこと。

それから、「いまのおまえはこの世界じゃ一番末っ子だから、先輩にご馳走になる時は可愛くご馳走になれ。とにかくメニューの一番上の安いものを頼め」といった大切な処世術も伝授してくださいました。

「江戸の芸人なんだから粋に食え」と、蕎麦屋で箸の持ち方から麺のすすり方まで実演して見せてくださったのもいい思い出です。

鶴八師匠でなきゃ、そこまで教えてくれなかったでしょうね。

いまの僕があるのは、鶴八師匠のおかげです。


(本記事は月刊『致知』2022年11月号 連載「二十代をどう生きるか」から一部抜粋・編集したものです)

本記事では他にも

・20代初頭で固めた覚悟

・テレビ出演で一躍人気者に

・2つの矢を持つことなかれ

など、鶴太郎さんが無我夢中で駆け抜けたという20代にスポットを当てたお話を伺いました。本記事には充実した人生を生きるためのヒントが詰まっています。ぜひご覧ください。【「致知電子版」でも全文をお読みいただけます

◇片岡鶴太郎(かたおか・つるたろう)
昭和29年東京都生まれ。高校卒業後、声帯模写の片岡鶴八師匠に弟子入り。テレビのバラエティー番組を足がかりに大衆の人気者となり、幅広い役を演じられる役者として活躍中。また、画家としても全国各地で展覧会を開催する一方、ヨーギーとしても認められ、賞を受賞するなど活躍は多岐にわたる。著書に『50代から本気で遊べば人生は愉しくなる』(SBクリエイティブ)『心の中に「静」をもつ』(サンマーク出版)など。

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