バイデン政権の無能、止まらないインフレ、食糧不足……このままではアメリカは崩壊する??

写真左がエルドリッヂ氏、右がシュラ―氏

戦後の世界秩序の安定を担ってきた超大国・アメリカ。しかし、いまアメリカは国内に様々な問題を抱え、崩壊の道を辿っていると、政治学博士のロバート・D・エルドリッヂ氏と歴史研究家のマックス・フォン・シュラー氏は警鐘を鳴らします。

日本在住の親日家であり、国際政治・インテリジェンスに通暁するお二人に、アメリカの驚くべき実態と日本の進むべき道について語り合っていただきました。

※掲載号発刊時(2022年6月)の情報に基づいた対談です。

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米民主党政権の「イネプトクラシー」

〈シュラー〉
……アメリカのいまを理解するには、大都会で急増している犯罪や物流の崩壊、食料不足、インフレーションの問題にも触れておかなくてなりません。

これは滞米歴30年以上の実業家、山中泉さんが著書『アメリカの崩壊』に詳しく書いておられますけれども、近年、特に民主党州である大都会(ロサンジェルス、サンフランシスコ、シカゴ、ニューヨーク等)を中心に、白昼堂々高級ブランドショップを狙った大掛かりな集団万引き、略奪・襲撃事件が多発しているんですね。治安がものすごく悪化している。

その要因はいくつかあるのですが、主に、民主党州では州法を改正し窃盗などの犯罪への処罰を緩くしたこと、警察予算を大幅に削減し、警察官の数を減らしていることなどが挙げられます。さらに宗教や健康上の理由も含めて、コロナワクチン接種の義務化に反対して離職する警察官もいます。

〈エルドリッヂ〉
それは軍人もです。

〈シュラー〉
物流の崩壊、食料不足についても、まさか経済大国のアメリカでそんなことが……と驚かれるかもしれませんが、実際に西海岸の港にはコンテナが山ほど積まれ、荷を満載したコンテナ船は停泊したまま。食料品店の棚も空きスペースが目立っています。

その要因として大きいのは、やはり、トラックの運転手不足です。いまアメリカではコンテナを運ぶトラック運転手が6万~8万人足りないと言われています。バイデン政権の長期にわたる手厚いコロナ特別給付金によって、失業したトラック運転手があまり生活に困らず、仕事・労働市場に戻ってこようとしないのです。

それから、警察官と同様に、ワクチン接種の義務化により、コロナワクチンを接種していない労働者、運転手が仕事に就けなくなっていることも影響しています。

そしてもう一つ、特にオバマ政権時代から、民主党政権が頑迷に推し進めてきた環境保護政策も、物流や食料不足をはじめ、アメリカ社会に様々な混乱をもたらしています。

例えば、バイデン政権は、化学肥料は使うなとか、石油・天然ガスの掘削は環境負荷が大きいからと、新規開発や一部パイプラインを止めてしまいました。それがエネルギー価格の上昇に繋がり、運輸や食料生産コストに波及しているのです。

事実、昨年からアメリカは高インフレに見舞われており、「バイデンフレーション」と揶揄されています。

よく食べるアメリカ人にとって、特に食料不足は政権への不満に直結します。私は食料不足がさらに深刻になれば、今年の8月頃には国民の不満が爆発し、社会は崩壊の危機に直面するのではないかと見ています。

〈エルドリッヂ〉
とにかく民主党政権がやることはあまりにおかしいので、アメリカでは「ineptocracy(イネプトクラシー)」という造語が流行っている。つまり、「無能な人たちによる政府」という意味です。しかも、不正や嘘が多い。

先ほどのメディアの話にも通じますが、アメリカの有権者はいまの民主党政権を信じていません。選挙で約束したことが全く果たされていないし、有権者は彼らが嘘ばかり言っていることに気づき始めている。このままでは、民主党は中間選挙、大統領選挙で大敗北するでしょう。

例えば、ウクライナ戦争でも、株価を見ると、石油関連会社や軍需産業がものすごく儲かっているのに、そのことは報道されないし、何ら国民に還元されない。食品に関しても食品会社がインフレに乗じて便乗値上げをしています。

こんな酷い状況にアメリカ国民がいつまで我慢できるのか、私には分かりません。


(本記事は月刊『致知』2022年7月号 特集「これでいいのか」より連載「意見・判断」〈特別対談〉アメリカはこれでいいのか! から一部抜粋・編集したものです)

◉本対談では、

「自由と民主主義の国、アメリカはどこへ」

・「中立公正を失ったメディア報道」

・「アメリカンドリームは既になくなっている」

・「世界は強い日本を待っている」

など、アメリカ、国際情勢のいま、日本の進むべき道を知る情報が満載です。【詳細・購読はこちら「致知電子版」でも全文をお読みいただけます)】

◇マックス・フォン・シュラー
1956年アメリカ・シカゴ生まれ。1974年に岩国基地に米軍海兵隊として来日、アメリカ軍の情報局で秘密調査などに従事。退役後は、国際基督教大学、警備会社、役者、ナレーター等、日本国内で幅広く活動。著書に『アメリカ人が語る 日本人に隠しておけないアメリカの崩壊』『アメリカ人が語る アメリカが隠しておきたい日本の歴史』(共にハート出版)『アメリカはクーデターによって、社会主義国家になってしまった』(青林堂)など多数。YouTube公式チャンネル「軍事歴史がMAXわかる!」で情報発信中。

◇ロバート・D・エルドリッヂ
1968年アメリカ・ニュージャージー州生まれ。1990年にバージニア州リンチバーグ大学国際関係学部卒業後、文部省JETプログラムで来日。1999年神戸大学大学院法学研究科博士課程修了。政治学博士号取得。2001年より大阪大学大学院国際公共政策研究科准教授。2009年在沖縄海兵隊政務外交部次長に就任(~2015年)。著書に『オキナワ論』(新潮新書)『尖閣問題の起源 沖縄返還とアメリカの中立政策』(名古屋大学出版会)『トモダチ作戦 気仙沼大島と米軍海兵隊の奇跡の“絆”』(集英社文庫)『中国の脅威に向けた新日米同盟』(青林堂)など多数。

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