【3分で読める感動実話】あなたの一だけをひたすら書きなさい

月刊『致知』には毎号、心の琴線に触れる記事が掲載されています。掲載当時大きな感動を呼んだ、言の葉墨彩画家・ひろはまかずとしさんのお話をご紹介いたします。

各界一流プロフェッショナルの体験談を多数掲載、定期購読者数No.1(約11万8,000人)の総合月刊誌『致知』。人間力を高め、学び続ける習慣をお届けします。
1年12冊の『致知』ご購読・詳細はこちら※動機詳細は「③HP・WEB chichiを見て」を選択ください

一本一本思いを込め、愛を込めて書く

実は私は、子どもの頃から字が下手でした。普段書く字はもちろん、書道も絵も、通知表の評価ではいつも1か2でした。

そういう人間がいま、言葉墨彩画家としてたくさんのファンの方々に恵まれ、一定の評価を得ています。書家や画家の方から一度も非難を浴びたこともなく、むしろそういう人たちの中にも私のファンの方がいます。この事実は、とても大きな教訓を含んでいると思うのです。

中学時代のある日のことでした。

国語の先生がお休みで、代わりに教頭先生が授業を受け持ってくださったことがありました。教頭先生は「きょうは習字をやろう」とおっしゃり、字の嫌いな私が憂鬱な思いを抱いていると、教頭先生は半紙を一人20枚ずつ配り、

「横棒の一だけを書きなさい。一に決まりはないから、何も考えずにあなたの一だけをひたすら書きなさい」

とおっしゃったのです。

教頭先生は黙々と書き続けている生徒の周りを回り、各々の字を褒めては頭を撫でてくださいました。私はその時間中に30回くらい頭を撫でられました。文字で褒められたことのない人間が、一という文字を書いただけで褒められた。私にとっては、目から鱗うろこが落ちるような嬉しい体験でした。教頭先生は授業の終わりにこうおっしゃいました。

「文字はすべて、この一の組み合わせなんだよ。だから、素晴らしい一を書ける人間に素晴らしい字が書けないわけがない。書けないのは、格好いい字を書こうとか、見本通りに書こうと思うからで、一本一本思いを込め、愛を込めて書くだけで、自分にしか書けない素晴らしい字が出来上がる。このことは、人間の生活すべてに当てはまることなんだよ」

その教頭先生の言葉がいまの私の創作活動、そして人生を支え続けてくれていると言っても過言ではありません。


(本記事は弊社刊『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』から抜粋・編集したものです)

各界一流プロフェッショナルの体験談を多数掲載、定期購読者数No.1(約11万8,000人)の総合月刊誌『致知』。人間力を高め、学び続ける習慣をお届けします。


◇ひろはまかずとし
1949年愛知県蒲郡市生まれ。 高校卒業後、服飾デザイナー、詩人として活動。 かたわら、現実の旅と心の旅を繰り返し20年をついやす。 1982年、「愛」のみをテーマに墨彩詩画を描き始める。

1年間(全12冊)

定価14,400円

11,500

(税込/送料無料)

1冊あたり
約958円

(税込/送料無料)

人間力・仕事力を高める
記事をメルマガで受け取る

その他のメルマガご案内はこちら

『致知』には毎号、あなたの人間力を高める記事が掲載されています。
まだお読みでない方は、こちらからお申し込みください。

※お気軽に1年購読 11,500円(1冊あたり958円/税・送料込み)
※おトクな3年購読 31,000円(1冊あたり861円/税・送料込み)

人間学の月刊誌 致知とは

人気ランキング

  1. 【WEB chichi限定記事】

    【取材手記】ふるさと納税受入額で5度の日本一! 宮崎県都城市市長・池田宜永が語った「組織を発展させる秘訣」

  2. 人生

    大谷翔平、菊池雄星を育てた花巻東高校・佐々木洋監督が語った「何をやってもツイてる人、空回りする人の4つの差」

  3. 【WEB chichi限定記事】

    【編集長取材手記】不思議と運命が好転する「一流の人が実践しているちょっとした心の習慣」——増田明美×浅見帆帆子

  4. 【WEB chichi限定記事】

    【取材手記】持って生まれた運命を変えるには!? 稀代の観相家・水野南北が説く〝陰徳〟のすすめ

  5. 子育て・教育

    赤ちゃんは母親を選んで生まれてくる ——「胎内記憶」が私たちに示すもの

  6. 仕事

    リアル“下町ロケット”! 植松電機社長・植松 努の宇宙への挑戦

  7. 注目の一冊

    なぜ若者たちは笑顔で飛び立っていったのか——ある特攻隊員の最期の言葉

  8. 人生

    卵を投げつけられた王貞治が放った驚きのひと言——福岡ソフトバンクホークス監督・小久保裕紀が振り返る

  9. 【WEB chichi限定記事】

    【取材手記】勝利の秘訣は日常にあり——世界チャンピオンが苦節を経て掴んだ勝負哲学〈登坂絵莉〉

  10. 仕事

    「勝負の神は細部に宿る」日本サッカー界を牽引してきた岡田武史監督の勝負哲学

人間力・仕事力を高める
記事をメルマガで受け取る

その他のメルマガご案内はこちら

閉じる