ジャパネットたかた・髙田明は、なぜ何をやっても結果を出すのか?

 

街のカメラ店だった家業を、年商1,700億円を超える巨大企業へと成長させたジャパネットたかた創業者の髙田明さん。同社社長を退いてからは、経営危機にあった長崎のクラブ「V・ファーレン長崎」の社長に就任し、チームの存続すら危ぶまれていたチームを見事1部リーグ(J1)に昇格させてみせました。街のカメラ店→ラジオショッピング→テレビ通販→プロサッカーチーム経営と、業態を変容しても次々に成功を収めてきた理由は一体どこにあるのでしょうか。

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写真の仕事をしているうちに、はまっていった

(高田)

私は「こういう企業を立ち上げたい」とか「上場したい」とか思っていた人間じゃないんです。学生時代は海外に行きたいなと思って、ESSという英語研究クラブで勉強しました。大学卒業後は機械メーカーに就職し、ドイツのデュッセルドルフをはじめ、ヨーロッパ各地を回りました。

仕事は楽しく充実した生活を過ごしていましたが、若気の至りから25歳で会社を辞めて田舎に帰りましてね。実家が写真屋をしている。じゃあ手伝おうかということで、写真の仕事をしているうちにどんどんはまってしまったわけです。

寝る間も惜しんで真剣にがむしゃらに走り続け、27歳で松浦市に、30歳で佐世保市に店舗を出し、年商2億5000万円にすることができました。

どうしたらもっと成長させていけるんだろうと思って一所懸命やっていたら、その手法としてラジオに出逢った。最初は「カメラのたかた」の歌をつくって、20秒のラジオコマーシャルを流したりしていました。そうしたら、偶然ラジオで喋りませんかと声を掛けていただき、5分間喋ってみたら100万円くらい売れたんです。

調べてみると、日本全国どこでもラジオショッピングをやっていることが分かり、それなら全国のネットワークをつくってみようと思いました。佐世保から始めて、いろんな方のお力を借りて徐々に広げていって、北海道や沖縄にも飛んでいきました。

 TBSとか文化放送とか、MBSとかABCとか、大きいラジオ局で放送したくても、佐世保の小さな会社ですから当然厳しくて。だからまず、ローカルからネットワークをつくったんです。そこで信用ができて初めて、東京や大阪に進出していける。3~4年そうやって動いていたら、年商が50億円になりました。次に出逢ったのがテレビです。

苦労と失敗は一つもない

最初の5年くらいはよそのスタジオを借りて番組をつくっていました。ところが、パソコンが登場してくると、3か月に1回新商品が出るようになり、制作会社にお願いしていたら間に合わない。

それで自社スタジオをつくり始めたんです。これは一つのチャレンジであり、ターニングポイントですね。自社スタジオがなかったらいまのジャパネットはありませんから。不可能と言われたんですけど、一所懸命やっていたらどうにかなって、いまは百人規模で、カメラマン、編集、出演者、すべて社員が担っています。

その後、電波だけじゃなくて紙媒体もやろうと思って、チラシやカタログを配りました。3年も経つとマンネリ化します。見てくれる人を増やすにはどうしたらいいかって一所懸命考えて思いついたのが「明日の朝刊、見てください」だった。これで通常のチラシの数倍売れたりしたんです。

インターネットが出てくると、まさかこんなもので売れないだろうと思ったけど、世の中が求めるんだったらやってみようということでやり始めた。結構、苦労話を聞かれるんですけど、正直言って楽しくやっているから苦労はないんです。失敗もないんですよ。 

私は一所懸命やらなかったことを失敗だと思っているので、やってダメだったことは失敗じゃないんです。やっぱりプロセスが大事。結果はうまくいくこともあるし、うまくいかないこともある。そこで工夫改善を繰り返していけば、いつの間にかうまくいくことが重なってくると思います。

一所懸命、悔いのない瞬間、瞬間を生きていく。くよくよしていても始まらないから、シンプルに物事を考える。そういう生き方を貫いてきました。

(本記事は『致知』2018年2月号特集「活機応変」を一部、抜粋したものです。

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髙田明(たかた・あきら)

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昭和23年長崎県生まれ。46年大阪経済大学卒業後、阪村機械製作所に入社し、海外勤務を経験。49年家業の写真店「有限会社カメラのたかた」に入り、61年分離独立して「㈱たかた」を設立、社長となる。平成11年社名を「株式会社ジャパネットたかた」に変更。27年社長を退任し、「株式会社A and Live」を設立。29年4月サッカーJ2のV・ファーレン長崎の社長に就任し、同年11月J1昇格へと導く。著書に『伝えることから始めよう』(東洋経済新報社)『90秒にかけた男』(日本経済新聞出版社)など。

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