マティス国防長官が愛読するこの本


ローマ皇帝マルクス・アウレリウスが
書き残した言葉をまとめた
『自省録』という書物があります。

読書家としても知られる
アメリカのマティス国防長官の
愛読書としても知られる同書を
早稲田大学名誉教授の池田雅之さんに
紐解いていただきました。

───────「今日の注目の人」───

池田 雅之(早稲田大学名誉教授)
        
※『致知』2017年10月号
※特集「自反尽己」P36

───────────────────

私がローマの「五賢帝」最後の皇帝であり、
哲学者でもあったマルクス・アウレリウス
(121~180年)と出会ったのは、
20年以上も前になります。

当時の私は、精神科医として
ハンセン病患者の救済に生涯を捧げ、
哲学書などの翻訳も多く手掛けた
神谷美恵子さんの著書を
熱心に読んでいたのですが、
その中に


「自分はマルクス帝の言葉に救われ、
 励まされた」


と書かれてあったのです。
 
それがきっかけとなり、
私はマルクス帝とは
どのような人物なのだろうと、
彼が遺した言葉を一冊にまとめた
『自省録』(神谷美恵子訳、岩波文庫)に
親しむようになったのでした。


(中略)


『自省録』は、もともとマルクス帝が
ギリシア語で書いた
『タ・エイス・へアウトン(自分自身に)』
に由来します。

しかし、この『自分自身に』の大部分は、
彼が晩年の10年間に
出版の当てなどなく書き記した
断片的な日誌のようなものであって、
彼自身により表題が付けられ、
まとめられた書物ではありません。

おそらくマルクス帝の死後、
誰かの手により1冊にまとめられ、
今日まで読み継がれてきたというのが
実情でしょう。
 
ちなみに、大変な読書家、
人望の厚い人格者として知られ、
「戦う修道士」と称される
アメリカのマティス国防長官の座右の書も、
『自省録』だと言われています。
 

私自身も、
マルクス帝の言葉を翻訳していく過程で、
彼の言葉の一語一語が
自分の心の深いところに直に響いてくる、
まるで自分の魂が育てられ、
自由になっていくような不思議な感覚を
何度も覚えました。

以来、私は折に触れて
マルクス帝の言葉を読み返し、
心の糧としてきました。

例えば、『自省録』にある
次のような言葉は
読む者の心を
大いに励ます力を持っています。……

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