2017年12月18日
長年、企業の人材育成に携わってきた染谷和巳さんは、 
誰もが仕事をする上で大切だと感じられることがあるそうです。 
それはよき仕事観を確立することです。 
染谷さんが考える、よき仕事観とはどのようなものなのでしょうか。 
 
染谷 和巳(アイウィル主宰) 
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※『致知』2018年1月号 
※特集「仕事と人生」P28 
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毎日の仕事を充実させるために、私が機会ある度に伝えていることがある。 
それはよき仕事観を確立させることである。 
 
よき仕事観とは仕事と人生を結びつけることだ。 
約三十年前、アイウィルという人材育成の会社を立ち上げて以来、 
数多くの人たちと接する中で思うのは、 
人間は仕事によってこそ成長するということである。 
 
もちろん、仕事とは会社勤めや個人事業主だけではない。 
家庭の主婦でも芸術家でも職人でも職業のジャンルは問わない。 
自らの仕事に無心に打ち込む時、人間はいつの間にか成長しているのである。 
自分の成長を実感するのは、まさに人生の醍醐味ともいえる。 
 
同じような意味で、私は「会社は人間修業の道場」という言葉を使ってきた。 
修業の場だと思えば、多少のことは辛抱できる。 
いまは泣きたいこと、怨みたいことがあったとしても、 
それを修業と捉えて乗り越えた時、 
自分が一回りも二回りも大きく成長していることを知るだろう。 
私自身、これまでの人生の中でそのような体験を何度も味わってきた。 
 
そのように考えると、会社と自分との関係を単なる雇用関係と割り切るのは、 
あまりにもったいないし、残念な仕事観である。 
 
こんなことを考えたことがあるだろうか。 
会社では誰かが売り上げを上げて、その中から社員に給料を払う。 
あなたの給料が額面で三十万円だとしよう。 
会社があなたのために負担しているのは三十万円だけだろうか。 
 
 
少し思いを巡らせてみれば分かる。 
社会保険料や厚生年金の半額は会社が負担している。 
この他にも事務所の家賃、光熱費、水道代、事務用品……ザッと計算すると、 
給料の三倍、約九十万円のお金が掛かっていることを知らなくてはいけない。 
 
自分の給料を捻出するのに、一体どのくらい売り上げを上げなくてはいけないのか。 
そのことを考えてほしい。そうすれば「給料が安い」「仕事がきつい」と 
不平ばかり言っていられないはずだ。 
反対に、働かせていただけることへの感謝の心が生まれてくるのではないだろうか。 
間違っても近年の風潮のように会社イコール悪などという発想には至らないだろう。 
 
毎月二十五日に決まった額の給料がもらえる。 
これを当たり前と思うのもまた明らかな幻想である。 
その幻想から目が覚めるのは…… 
 
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