2016年07月20日
Ω あなたの人間力を高める Ω
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致知出版社の「人間力メルマガ」 2016.7.21
世界で4,000万人もの人々が毎日
服用している「スタチン」。
世界二大死因の元凶に
効果があるのみならず、
アルツハイマー病やがんなどにも
有効と目される「奇跡の薬」の
開発秘話を研究一筋にいきる
遠藤章さんにお話しいただきました。
────────[今日の注目の人]───
★ スタチン発見への道のり ★
遠藤 章(東京農工大学特別栄誉教授)
※『致知』2016年8月号【最新号】
※特集「思いを伝承する」P12
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──スタチン発見までの道のりを
ぜひお聞かせください。
当時は抗生物質探しが
峠を越していました。
1960年代末までに1,000種類以上
もの抗生物質が発見されていて、
その大半は放線菌という
バクテリアの一種から発見されていました。
要するに、放線菌が当時の
研究の主流だったわけですね。
だけれども、僕は放線菌の
中からコレステロール
合成阻害物質を探すのではなく、
カビやキノコといった菌類に絞り込んで、
探索することに決めたんです。
(略)
──研究は何名でスタート
されたのですか。
メンバーは研究補助員2名と
大卒の新入社員一名の計4名でした。
もう見つかるか見つからないか
っていうのは、競馬の賭けと同じで(笑)、
いくらやっても見つからないかもしれない。
深みに嵌ると危険なんですね。
そんな中、ある意味で3人を
道連れにするわけですから、
僕は予め2年間と期限を決めていました。
そうでなければ、仲間の
モチベーションを維持できないし、
所長や会社に迷惑をかけてしまいますから。
ただ、やるからには
「必ず見つかるに違いない」
「探し方さえ工夫すれば絶対に道は開ける」
という信念を持って、
日々研究に打ち込んでいきました。
試験管にラットの肝臓の酵素と
放射性酢酸を混ぜてコレステロールを合成し、
それにカビやキノコの培養液を
加えて一つひとつ測定する。
その単純作業を地道に
延々と繰り返していくんです。
──気が遠くなるような作業です。
一株ずつ手当たり次第に試験し、
一年間で約3,000株を調べて
運よく有効な菌が一つ見つかったんです。
結局、モノにならなかったんですけど、
そこで自信がついた。
この調子で探していけば、
もっといいものが見つかるかもしれないと。
そして、6,000株もの実験の果てに、
ある青カビからコレステロール
合成阻害物質「コンパクチン」を発見し、
新薬の種を突き止めることができたんです。
1973年7月のことでした。
小さなことをコツコツ
根気よくやり続けていく。
そういう努力はなかなか
表には出ないけれども、
何かを成し遂げる上で一番
大事なことだと実感しましたね。
──2年3か月にわたって
6,000株もの試験を繰り返し、
ようやく新薬の種に
辿り着いたわけですが、
途中で心が折れそうに
なったことはなかったですか。
もうやめようかなと思った
ことも正直ありましたよ。
だけど、自分が言い出して
始めたことですから、
そう簡単に白旗を揚げるわけ
にはいきませんでした。
まあ、頑固というか、信念というか、
そういうものがなければ、
発見には至らなかったでしょうね。
何とか新薬の種は見つけましたが、
本当の意味で大変
だったのはここからでした。
──といいますと?
新薬の開発に至るまでには…
※「スタチン」発見にいたる
さらなるドラマの続きとは。
続きは本誌でお楽しみください!