JR九州を完全民営化へと導いた唐池恒二が説く「気を満ち溢れさせる5つの法則」

日本初の豪華寝台列車「ななつ星㏌九州」をはじめとした鉄道事業の改革と事業の多角化を推進し、JR九州を完全民営化へと導いた唐池恒二氏。氏のリーダーとしての転機になったのは、1993年に営業赤字に陥っていた外食事業部のトップに就任したことだといいます。外食事業部の改革に乗り出す中で培われた「気を満ち溢れさせる5つの法則」を説き明かしていただきました。対談のお相手は、ゲストハウス型の婚礼施設を展開するアイ・ケイ・ケイを創業し、就職人気ランキングで3年連続九州・沖縄一に選ばれる人気企業へと発展させてきた金子和斗志氏です。
(本記事は月刊『致知』2025年9月号 特集「人生は挑戦なり」より一部抜粋・編集したものです)

各界一流プロフェッショナルの体験談を多数掲載、定期購読者数No.1(約11万8,000人)の総合月刊誌『致知』。人間力を高め、学び続ける習慣をお届けします。
1年12冊の『致知』ご購読・詳細はこちら※動機詳細は「③HP・WEB chichiを見て」を選択ください

繁盛する店と繁盛しない店の差

〈唐池〉
私は外食事業に計7年携わった間、勉強のために飲食店だけじゃなくて、賑わっているブティックにも足を運びました。その中で、繁盛する店と繁盛しない店には決定的な違いがあると気がついたんですよ。それは「気」です。

繁盛店には店全体に強烈なオーラが出ています。隅々まで掃除されていたり、スタッフの表情が自信に満ち溢れていたり。そういう店は料理やサービスも間違いない。これが気の正体なのでしょう。

〈金子〉
まさに経営の本質ですね。

〈唐池〉
じゃあ、気を呼び込むにはどうすればいいのかと。私はいつも気の満ち溢れている店には5つの法則があると唱えてきました。

1つは「夢見る力」です。先ほど申し上げましたが、その組織なり人なりがいかに夢を見ているかと。これが最も肝心です。

2つ目は「スピードのあるキビキビとした動き」。繁盛店のウェイターは料理を運ぶ時のスピードとキレがすごい。これは料理を出来立ての状態で届けるため。迅速に動くとたくさんの気が集まります。

3つ目は「明るく元気な声」です。挨拶や電話の出方にしても、ボソボソと喋っていては気が高まりません。明るく元気な声が気を呼び込む原動力になります。

4つ目が「隙を見せない緊張感」。JR九州が発足間もない頃、九州の各企業にご挨拶の手紙を出しました。当時は住所録ソフトなどありませんから、何千通分の宛名を手書きで書かなければならない。人手が足りず、筆ではなくボールペンで書いたものもありました。

そうすると、何通かは突き返されました。ボールペンは便利すぎるあまり手抜きです。つまり、手間隙を感じないものからは気がどんどん薄れていくということです。

〈金子〉
緊張感というのは、人に対する緊張感もありますよね。

〈唐池〉
おっしゃる通りです。本社にいると直接お客様は見えませんけど、目の前の仕事の最終地点には必ずお客様がいる。だから、常にお客様を意識して仕事をしないとダメだぞと、こう言うんです。

そして接客で一番大事なのは、待っている時の姿勢です。繁盛している店では、お客様がいない間も絶対に私語はしません。商品を綺麗に畳み直したり、テーブルを拭いたり、スタッフが絶えず動いています。いつ来店されてもいいような表情、態度、準備をしておくこと。お客様がいない時に隙を見せず、店内の空気をいかに動かすかが大切なんです。

〈金子〉
うちはまだまだ隙だらけですよ。反省させられます。

〈唐池〉
最後の5つ目は、毎日少しでも成長しようと努力する「貪欲さ」です。この気を満ち溢れさせる5つの法則は、あらゆる仕事に通ずるものだと思います。


本記事の内容 ~全10ページ(約14,000字)~
◇就職人気ランキングで3年連続九州・沖縄一に選出
◇餃子300人前がトレードマネーに
◇「すべての責任は俺が取るからやらせてくれ」
◇名経営者に通ずる本質に気づく力
◇夢が叶うということは夢が夢でなくなること
◇三位一体となって成し遂げた上場への軌跡
◇逆境と屈辱が人と組織を強くする
◇世界一の豪華寝台列車「ななつ星」誕生秘話
◇人生は挑戦であり挑戦が人生

「致知電子版」では全文お読みいただけます。【詳細・購読は下記バナーをクリック↓】

 

◇金子和斗志(かねこ・かつし)
昭和27年佐賀県生まれ。佐賀県立伊万里高校卒業後、靴販売店での営業などを経て家業のホテルを継ぐ。平成7年アイ・ケイ・ケイ設立、社長に就任。22年大証JASDAQ市場に上場。24年東証二部に鞍替えし、25年東証一部(現・プライム)指定。令和3年より現職。著書に『サービスの精神はありがとうから生まれる』(コスモ教育出版)がある。

◇唐池恒二(からいけ・こうじ)
昭和28年大阪府生まれ。52年京都大学法学部卒業後、日本国有鉄道(国鉄)入社。62年国鉄分割民営化に伴い、九州旅客鉄道(JR九州)総務部勤労課副長。外食事業部長、経営企画部長、2度のJR九州フードサービス社長などを経て、平成21年社長に就任。26年会長に就任。令和5年より現職。著書に『ななつ星への道』(PHP研究所)『感動経営』(ダイヤモンド社)など多数。

各界一流プロフェッショナルの体験談を多数掲載、定期購読者数No.1(約11万8,000人)の総合月刊誌『致知』。人間力を高め、学び続ける習慣をお届けします。※動機詳細は「③HP・WEB chichiを見て」を選択ください

1年間(全12冊)

定価14,400円

11,500

(税込/送料無料)

1冊あたり
約958円

(税込/送料無料)

人間力・仕事力を高める
記事をメルマガで受け取る

その他のメルマガご案内はこちら

『致知』には毎号、あなたの人間力を高める記事が掲載されています。
まだお読みでない方は、こちらからお申し込みください。

※お気軽に1年購読 11,500円(1冊あたり958円/税・送料込み)
※おトクな3年購読 31,000円(1冊あたり861円/税・送料込み)

人間学の月刊誌 致知とは

人間力・仕事力を高める
記事をメルマガで受け取る

その他のメルマガご案内はこちら

閉じる