余命1か月の生徒を救った『あなたと健康』創刊者・東城百合子の言葉

自然療法の大家である東城百合子さんが立ち上げた「あなたと健康社」。ここで40年以上料理講師を務める米澤佐枝子さんは自身も40代の時に余命1年と宣告されるも、自然療法によって完治させた経験を持ちます。そんな米澤さんに師匠・東城さんとの出逢い、米澤さんのあり方を変えた東城さんのある言葉について語っていただきました。(本記事は月刊『致知』2023年8月号特集「悲愁を越えて」より一部抜粋・編集したものです)

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東城先生との出逢いと自然療法でのがん治療

——東城先生はどんな方でしたか。

〈米澤〉
厳しくも愛情に溢れた方でした。白黒はっきりされている人で、「あんたとは馬が合う」と何度も言われたのを覚えてる。

私が初めて東城先生のことを知ったのは主人の仕事の関係でブラジルに住んでいた時で、日本人の友達からもらった東城先生の著書『自然療法』がきっかけでした。

この本は1978年の刊行ですがいまだに口コミで売れ続け、累計発行部数は100万部を超えています。私は大学で栄養学を学び、ビタミンが何グラムでカロリーがどうとか計算ばかりをやっていたけど、それが本当に身体にいいのか、内心疑問に思っていたんです。

東城先生はその本の中で、高たんぱく高カロリーを推奨する栄養学は無視できないけど枝葉でしかなく、私たちの体をつくる根っこを育成するには自然に立ち返り、自然の力を知ることが大切だと断言しています。その内容に共感し、帰国したら先生に会いに行きたいと思っていました。

ところが、まだブラジルにいた頃に体調に異変が出てきたんです。爪は剥がれてボロボロで、不正出血もあった。腰も痛くて痛くてたまらない。体中がだるくて、どうもおかしいから地元の病院で診てもらったら、末期の子宮がんで「余命3か月、生きて1年」って。

——ああ、突然の宣告を……。

〈米澤〉
ショックでしたね。当時まだ40代で、子どもたちは2歳、4歳、6歳。何とか治さなきゃと考えていた頃、4人目の医師から紹介されたのが玄米菜食でした。

マクロビオティックの提唱者・桜沢如一氏がブラジルでも玄米菜食の大切さを伝えていて、そのブラジル人の医師は実践者だったの。それからは徹底して玄米自然食にしたところ、学生時代に72キロあった体重はどんどん落ちて、38キロにまでなっていました。

でも、子どもがまだ小さくて手がかかったから、自分のことより3人の子育てに毎日必死。がんにゆっくり向き合う時間がなかったのがよかったんだろうね。それ以降、向こうでは病院に行かず、食事療法を続けたことで、2年半ぶりに帰国して検査を受けた時に、何とがんが随分小さくなっていた。

「命はあなたが決めるんじゃなくて天が決める」

——投薬治療や手術はせず、自然療法だけで小さくなったのですか。

〈米澤〉
そう。その後、東城先生のもとを訪ねて、料理教室で働かせてもらうことになるんだけど、転機になったのが勤め出して3年目の暮れでした。

私が料理教室で教えている時、直腸がんで余命1か月と宣告されていたある生徒さんが、突然ばたんと倒れたんです。私が慌てて東城先生のところにお連れしたところ、先生がその生徒さんの肩をポンッと叩いて「あんた、なーにそんな突っ張っているの?」って。「大丈夫よ、命はあなたが決めるんじゃなくて天が決めるから。だから天に任すのよ」と言うの。

真横で聞いていた私はびっくり仰天。え、天に任すの? って。だって、その頃の私は突っ張りのお米と呼ばれるほど突っ張っていたんだから(笑)。私に言われた言葉じゃなかったけど、先生のその言葉が真っすぐに私の心に突き刺さりました。

——米澤さん自身も大きな気づきを得られたのですね。

思い返すと、私はがんにとらわれていたんです。私はがんだ、がんだって思い込んで、私が私がと〝我〟が強かった。でも、命は天に任せて、私は今できることをやればいい、もっと前向きに生きようと思えるようになりました。

日々仕事や家事でやることはいっぱいあるから、あれこれ思い悩むのをやめて目の前のことに夢中になっているうちにがんであることを忘れて、10年ほど経った頃にがんが消えていたんです。だからいつ治ったかなんて分からない。

とらわれがなくなると病気も消えるのね。逆に、症状が出ている時はその考え方はよくないと、病が警鐘を鳴らしているんだと思う。私の前で倒れた生徒さんも先生の言葉で救われて、今も元気です。だから命って本当に分からない。


◎2025年5月号 特集「すれどもうすろがず」に米澤さんがご登場!

「病が また一つの世界を ひらいてくれた 桃 咲く」。詩人の坂村真民さんは、重い病の苦しみを経て、新たな心境に至った歓びをこう綴った。3人の子を抱え30代で突然の余命宣告を受けるも奇跡的に快復し、師に学んだ料理指南を続ける米澤佐枝子さん。14歳から20年も原因不明の不調に悩まされ、日本古来の発酵が持つ力に目覚めた栗生隆子さん。お二人は病をどう受け止め、与えられた生を愉しんでおられるのか。【詳細は下記バナーをクリック↓】

 

〈致知電子版〉でも全文お読みいただけます

◇米澤佐枝子(よねざわ・さえこ)
昭和17年静岡県生まれ。相模女子大学食物科で栄養学を専攻。卒業後、東條会館にて和洋中料理のコック修業。結婚後、夫の赴任に伴いブラジルに渡っていた時に子宮がんを発症、余命1年と宣告。食事を変えるなど自然療法を始め、手術もせず薬にも頼らずがんを克服。58年自然療法の大家である東城百合子氏が立ち上げた「あなたと健康社」に入社、健康料理教室の講師を任される。以来43年間、東城氏に師事し続けた。著書に『よねさんの免疫力超アップの食卓』(三笠書房)がある。

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