【全文公開】稲盛和夫が366の語録に込めた思い

京セラ、KDDI、JALという3つの世界的企業を率いた稀代の名経営者・稲盛和夫氏。これまでの著作や講演の中で語られた言葉の数々は、多くの方に勇気を与え、行く道を照らす光となってきました。このたび発売された『稲盛和夫一日一言』には、その膨大な著作のみならず、市販本には収録されていない、講話やスピーチなども渉猟し、選び抜いた366の金言が収録されています。本日は稲盛和夫氏による「まえがき」と、この本が生まれるまでのいきさつが記された「編集後記」を全文、ご紹介いたします。

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私から読者諸兄へのエネルギー転移の書

【『稲盛和夫一日一言』まえがき】

「魂から発せられた葉は、表現が少々稚拙であっても、聞く人の魂に語りかけ、感動を与える。全身全霊を乗せた葉には ある種の『霊力』があるからである。つまり霊である。所懸命、なんとか相手にわかってほしいという思いを込めて、文字通り心の底から出た葉は、やはり、単なる話のための葉よりも訴える力が強いのは確かだ。聞き手の感動を呼び起こすのもそれゆえにほかならない」―――『PHP』誌(1986年9月号)に、私はこのように記している。

実際に、全身全霊を込め、あたかも魂をほとばしらせるがごとく話すことを、私は常としてきた。若い頃から、目標を立て追求していくにあたり、将来の姿、具体的な展開、さらには社会的な意義までを考え尽くし、それを幹部や部下が腹落ちするまで、徹底して話すように努めてきたのである。相手が納得するまで話しきると、くたくたに疲れてしまう。まるで話すことによって、私のエネルギーが相手にすべて送り込まれ、自分が抜け殻になってしまったかのようであった。このことを、私は「エネルギーを転移する」と呼んでいる。

本書は、私から読者諸兄へのエネルギー転移の書である。

私の「」が、読者の皆様の魂に届き、その人生や経営を、さらに豊かで実り多いものにすることに役立つなら、著者として望外の幸せである。

令和3年9月吉 稲盛和夫

寸言には人を感奮興起させる力がある

【編集後記】

弊社が昭和53年より発刊している人間学を学ぶ月刊誌『致知』では、毎号特集テーマを決め、そのテーマにふさわしい方々のお話を掲載しています。そんな中、2021年4月号で稲盛和夫に学ぶ人間学」という特集を組んだところ、読者の皆様から非常に大きな反響をいただき、全国から感動のお便りなどがたくさん寄せられました。

また、本号の中で稲盛和夫――魂に響く葉」という語録ページも組ませていただきましたが、稲盛氏の金に勇気を得た」「歩むべき指針を教えられた」といった反響が数多く寄せられ、稲盛氏の寸が持つ力を改めて実感することとなりました。本書については、いまから10年ほど前、京セラ株式会社の経営研究部(現・稲盛ライブラリー)と、弊社とで366の葉を入念に選び出したことがありました。

その後、弊社からすでに刊行されている」というシリーズの冊として加えさせていただければという思いで大切に温めてまいりましたが、先述の語録ページの反響を受け、この機会にぜひ「」の出版をと相談させていただいたところ、快くご承諾をいただくことができ、おかげさまで刊行の運びとなりました。

には人を感奮興起させる力があるといいます。

幾度もの試練を乗り越え、道を切り拓いてこられた稲盛氏の生き方や考え方、思想や哲学の神髄に語録を通じて触れていただくことは、
現下の困難を生きる方々に大きな勇気や希望を与えるとともに、今後の歩み方を照らす何よりの道標となるに違いありません。

 致知出版社 代表取締役社長 藤尾秀昭


(本記事は『稲盛和夫一日一言』〈弊社刊〉より一部抜粋・編集したものです)

◇稲盛和夫(いなもり・かずお)
昭和7年鹿児島県生まれ。鹿児島大学工学部卒業。34年京都セラミック(現・京セラ)を設立。社長、会長を経て、平成9年より名誉会長。昭和59年には第二電電(現・KDDI)を設立、会長に就任、平成13年より最高顧問。22年には日本航空会長に就任し、27年より名誉顧問。昭和59年に稲盛財団を設立し、「京都賞」を創設。毎年、人類社会の進歩発展に功績のあった方々を顕彰している。また、若手経営者のための経営塾「盛和塾」の塾長として、後進の育成に心血を注ぐ(現在は閉塾)。著書に『人生と経営』『「成功」と「失敗」の法則』『成功の要諦』(いずれも致知出版社)など。


◇稲盛和夫さんから月刊『致知』へメッセージをいただきました

月刊『致知』創刊40周年、おめでとうございます。日本人の精神的拠り所として、長きにわたり多大な役割を果たしてこられたことに、心から敬意を表します。

『致知』は、創刊以来、人間の善き心、美しき心をテーマとする編集方針を貫いてこられました。近年、その真摯な姿勢に共鳴する読者が次第に増えてきたとお聞きしています。それは、私が取り組んでまいりました日本航空の再生にも似て、まさに心の面からの社会改革といえようかと思います。

今後もぜひ良書の刊行を通じ、人々の良心に火を灯し、社会の健全な発展に資するという、出版界の王道を歩み続けていただきますよう祈念申し上げます。

――京セラ名誉会長・日本航空名誉顧問 稲盛和夫

稲盛和夫氏と『致知』——稲盛氏から寄せられたメッセージ


 

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