イエローハット創業者・鍵山秀三郎が教える「領収書の人生」と「請求書の人生」

イエローハットを一代で一流企業に育て上げ、「日本を美しくする会」の相談役として、日本人の心を綺麗にする活動に尽力した故・鍵山秀三郎さん。その鍵山さんが教える、自らの人生を好転させ、社会をよりよくしていく秘訣とは。(本記事は月刊『致知』の記事より一部抜粋・編集したものです。仕事力・人間力を高めるヒントが満載です。詳細はこちらから)

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領収書の人生と請求書の人生

〈鍵山〉
“もっと、もっと、もっと”際限なく求めて欲しがって生きるのは、「請求書の人生」であると、知人の有吉説志様から教えていただきました。

 有吉様は、幼い頃お祖母さんから、寺社にお参りした時は「ありがとうございます」と請求書ではなしに領収書のお参りをしなさい、と教えられたそうです。

 向上心や探求心は人の成長に欠かせない大切な条件ではありますが、度の過ぎた欲求は人を卑しくし、ひいては国家の尊厳を傷つけることにも繋がります。

 有吉様のお話を通じて、求めるばかりではなく、いま与えられているものごとに感謝の心を持つ「領収書の人生」を歩めと教えていただきました。        

日本には領収書の生き方をしている方が大勢おられますが、そういう方は世間から注目されることはありません。請求書の生き方をする人が派手で目立つのに比べて、領収書の生き方をする人は地味で人目につかないところが共通しているからです。 

誰からも注目されず、光の当たらないところで、いつ報われるか分からないことにも心を込めて取り組んでおられるそのお姿からは、卑しさは微塵も感じられません。 

他人に頼ったり、求めたりすることなく、人の役に立つことだけを念頭において、一途に歩み続けるお姿は、人を惹き付ける豊かな魅力を備えています。

よい心の連鎖を起こす

私は、極力人様に不快感を与えないようにいつも気をつけています。例えば、私は出張が多いものですから飛行場や駅によく行きます。そうすると、鞄をぶつけられたり、後ろから靴のかかとを踏まれたりして不愉快になることがよくあるんですね。

私はそのように、自分がされて嫌なことは人にしたくありませんし、そういうことをする人がいなくなるような世の中にしていきたいと願っています。

吉野弘という詩人の作品に、自分の持ち物を自分の体の一部だと思わない人が嫌いだと書かれています。持っている鞄を自分の体の一部だと思っていないから、平気で人にぶつけて歩くわけで、吉野さんはそういう人が嫌いだというのです。私もそういうことは嫌いです。

人に不快な思いをさせる人が出ない世の中にしたい。それが私の心の底からの願いなんです。

いつも掃除をしに行く公園の入り口付近に、自動販売機があります。その側にある空き缶入れの蓋を開けると、缶以外のゴミがたくさん入っているので、私はいつもそれらを全部取り出すんです。

缶以外のゴミが入っていると、回収しに来る人が嫌な気分になりますし、その後の車の運転も荒くなって事故を起こすかもしれません。心の荒みがどんどん連鎖していくわけで、これはとても恐ろしいことです。

けれども空き缶だけにしておくと、回収に来た人も気分よく作業ができますし、その後も心穏やかに人に接することができると思うのです。

また、私はタクシーに乗ると少しだけ多めに料金を払います。別にお礼を言ってもらいたくてやるのではなく、後に乗る人が気分よく乗れるようにそうしているんです。私が少し多めに払うと運転手さんも気分がよくなって、次のお客さんへの接客も幾分よくなるかもしれません。

荒みと反対の、よい心の連鎖が起こるのです。

 


(本記事は月刊『致知』の記事より一部抜粋・編集したものです。仕事力・人間力を高めるヒントが満載です。詳細はこちらから)

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日々ニュースで報道される忌まわしい事件を見ると、憂慮に堪えませんが、この悪しき風潮に歯止めをかける役目を持っているのが『致知』であると私は信じております。

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