致知社員が選ぶ!365教科書シリーズ「1日1話、私のイチオシ」vol.14

社員の日常

2020年末に第1弾が発売されて以来、いまも連日、読者の皆様から感動の声が寄せられている「1日1話、読めば心が熱くなる365人の教科書」シリーズ。
わずか1ページの分量でありながら、一つひとつのお話には、胸が熱くなる感動が詰まっています。
全部で730あるお話の中で、皆さまの心に最も深く残ったのは、どのお話だったでしょうか?

「1日1話、読めば心が熱くなる365人の教科書」シリーズの中から、致知出版社社員が特に心に残った記事と、その感想をシェアしていきます。

『1日1話、読めば心が熱くなる
365人の仕事の教科書』

6月28日 天命追求型の生き方・目標達成型の生き方
白駒妃登美 (ことほぎ代表取締役 )

大病を患い、絶望の淵に立たされた私は、発病前に読んだ話を思い出しました。人間の生き方には西洋の成功哲学に代表される「目標達成型」とは別に「天命追求型」があるというのです。天命追求型とは将来の目標に縛られることなく、自分の周囲の人の笑顔を何よりも優先しながら、いま、自分の置かれた環境でベストを尽くす。それを続けていくと、天命に運ばれ、
いつしか自分では予想もしなかった高みに到達するという考え方です。そこでは、自分の夢だけを叶えるfor me より、周囲に喜びや笑顔を与えるfor you の精神、つまり志が優先されます。天命追求型、目標達成型という視点から歴史を紐解くと、天命追求型はまさに日本人が歴史の中で培った素晴らしい生き方であることに、私は気づきました。

そして私自身も目標達成型から生き方をシフトし、天命に運ばれていくうちに、奇跡的に病状が快復したのです。天命追求型に生きた歴史上の人物といえば、豊臣秀吉はその好例でしょう。秀吉は徳川家康、織田信長と比べて大きく違う点があります。家康や信長が殿様を父に持ったのに対し、秀吉は農家に生まれたことです。農民の子の秀吉が最初から天下統一を夢見たでしょうか。通説によると、秀吉は「侍になるために織田家の門を叩いた」ということになっていますから、おそらく若き日の秀吉は、天下を取るなど考えてもいなかったに違いありません。

しかし、秀吉の人生はその夢を遙かに超えてしまうのです。ご存じの通り、秀吉は最初、信長に“小者(こもの)”という雑用係の立場で仕えました。雑用係は、もちろん侍の身分ではありません。けれども、信長が秀吉を雇い入れた時、きっと秀吉は、農民の自分に目をかけてもらえたことに胸を躍らせ、心から感謝したのではないでしょうか。

だからこそ、たとえ雑用係の仕事にも自分でできる工夫を施したのだと思います。寒い日の朝、信長の草履を懐に入れて温めてから出した話は有名ですが、草履一つ出すにも喜んでもらえるようアイデアを加えたのです。やがて足軽となってからも信長を喜ばせたいという思いは変わらず、一層の信頼を得て侍に、さらに侍大将、近江国・長浜城の城持ち大名へと登り詰めるのです。過去の自分を振り返ると、西洋の成功哲学に刺激を受け、目標達成に突っ走っていた頃、確かに夢は叶いました。受験勉強、就職活動、子育て、すべてにビジョンを描き目標を立ててやってきました。

しかし、見方を変えれば夢しか叶わなかったのです。夢を超えた現実はやってきませんでした。では、秀吉はなぜ夢を超えることができたのでしょうか。想像するに、秀吉は最初から天下取りなど考えず、いつも“いま、ここ”に全力投球する生き方を貫いたからだと思います。自分の身の回りの人たちに喜んでもらえることを精いっぱいやっていった。その結果、周囲の応援を得て次々と人生の扉が開き、天下人へと運ばれていったのではないでしょうか。まさに天命追求型の人生だったのです。

致知出版社 致知編集部 江口元浩

致知出版社に入社して21年。『致知』は単なる月刊誌ではなく、天から貴い使命を与えられた月刊誌であるという確信は深まるばかりです。
21年前と比べ、時代は一層混迷の度を深めていますが、それと反比例するかのように『致知』が放つメッセージは益々大きな光彩を放つようになりました。
そのことは『致知』がいまや社会を照らす一燈として11万人を超える人々の心に火を灯し、国家レベルでの大切な羅針盤、精神的支柱となっていることからも分かります。
『致知』は大宇宙のリズムに合致した月刊誌であり、人々の中に眠る徳性を涵養し、富国有徳の国づくりに貢献していこうとする理念を掲げた致知出版社を天が応援しないはずがありません。
天の応援を得られないとしたら、それはまだまだ天に応援していだたけるだけのレベルに私たち、否、私自身が達していないからだと思います。
『致知』の持つ天命、そして「『致知』の編集を通して社会の一隅を照らしていきたい」という自身の天命をしっかりと腑に落とし、勤勉、誠実、丹精、謙虚、素直、感謝、感動を旨としてコツコツと努力を重ねていけば必ず道が開かれていくことを確信し、日々の仕事に打ち込んでまいります。

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