2020年08月05日
『致知』特別企画 ≪社員が語る「致知と私」Vol.18≫
社員に致知出版社への入社のいきさつ、『致知』への想い
本日は、管理部 浅井敬行を紹介いたします。
ぜひ、ご覧くださいませ。
* * * *
≪「父親の死、息子との別れから生じた私の父性」≫
今から14年前、2006年10月2日、その前夜、私は一睡もできませんでした。
致知出版社に辿り着くまでの人生が走馬灯のように脳裏を駆け巡り、自分の眠りを
奪い取ったのでした。
「とうとうここまで、 良くぞここまで来た」
致知出版社入社前日の10月1日は長男1歳の誕生日であり、亡き父の墓前で感謝の祈りを捧げておりました。
今回の「致知と私」は、なぜ今、自分がここ致知出版社に居させていただいているのか、について内省する機会となりました。
「いつかは教育事業に携わりたい」
その思いの淵源をたどるとよみがえってくるものがあります。
昭和49年生まれの私が、小学校4年生の時のことです。昨年のラグビーワールドカップのこともありご存じの方も多いと思いますが、『スクール☆ウォーズ』という
熱血ラグビードラマとの出会いが私の教育思想の原点でありました。
再放送を幾度となくされたこのドラマからは、
学校の授業では教えてくれない目に見えない「人間の心」「思いやりの大切さ」、「勇気」を、その見る時代時代で教えてもらっていました。この先を学びたい。
しかし当時中学、高校で教えてもらうことの大半は、偏差値や有名高校・大学への
合格のことばかりで、自分の心臓は全くもって納得がいっておりませんでした。
大学・大学院に進学してからも葛藤は続きます。
自分の人生について真剣に考え、模索しておりました。
自分は求める心が同世代の人より少しは強かったのかもしれません。
1998年2月に奇跡が起きました。
奇跡とはアメリカ・ロス在住の『スクール☆ウォーズ』の
原作者・馬場信浩先生に邂逅する機会に恵まれたことです。
小学4年生からの想いをぶつける相手が出来た自分は、水を得た魚の様でした。
出会いから暫らくして私はある日、心から湧きあがる問いを抑えきれず、
自分は馬場先生に質問しました。
浅井:
「『スクール☆ウォーズ』という我々に絶大な感化を与えたドラマの原作本を書かれた先生は、それを書かれるにあたりどういう方の本を読まれてきたのですか?」
馬場先生は答えられました。
馬場先生:
「浅井、よくぞそれを聞いてくれた!!この人の本を本屋で一冊でも良いから見つけたら手にとって、そして良いと思ったら買ってみてくれ!」
とある方の本を読むことを お勧めしてくださったのです。 それが安岡正篤先生でありました。安岡先生は、馬場先生の母校、四条畷高校の伝説の先輩だったのです。
そのとき初めて購入したのが、致知出版社の『人物を修める』(安岡正篤著)でした。
不思議なものです。それまで本を読むのが大嫌いであったこの私が、本屋に行くのが
楽しくなったのです。
尊敬する人からの 言葉の効果は絶大です。 気がついたら、
私の家には致知出版社の本ばかりになっていました。
しかし、まだその時は『致知』との出会いは、私に許されませんでした。
その後、社会人2年目の2000年に私は結婚しました。
当時父親は孫の誕生を待ち望んでいましたが、2004年10月14日、不慮の事故で父は63歳の生涯に幕を閉じました。
ここが、その後の自分の人生の節目だったと思います。
父親の死から1年も経たない
2005年10月1日に自分にも待望の第一子が生まれますが、幸せはそう長くは続きませんでした。
その5か月後の2006年3月17日、自分は約6年間の結婚生活にピリオドを打ち、7年間勤めた建設会社も去る決意をしました。
家族と仕事を失った時、ちょうど32歳になろうとしていました。
この時が自分の人生で一番の逆境だったと思います。
そして私は建設会社を転職して塾の先生になりました。
塾では小中高生たちに、良い習慣を身につけることの大切さをある本を通じて教えておりましたが、欧米の横文字が目立つ中身に違和感を覚えはじめました。
そんな時、愛読していた渡部昇一先生の『人物を創る言葉』の本にあった
『致知』の定期購読の薦めに目が留まったのです。
『致知』2006年7月号特集『人学ばざれば道を知らず』を手にした瞬間のことを
忘れることができません。
私が求める全てがそこにはありました。
人間、信じて求めていれば必ず出会うことができる、
“信は力なり”を実感した瞬間でした。
その後自分は埼玉の地元近くの川越木鶏クラブの門を叩き
8月、9月の勉強会に参加後、致知出版社に速達で履歴書を送りました。
そして幸運にも入社のご縁を頂きました。
私と『致知』との出会いは父親の死と息子との別れがなければ、 ありえません。
しかし、そのおかげで『致知』に出逢い、自分の中に眠っていた父性に気づく機会を
いただいております。
『致知』を広め、子どもたちにも人間学に触れる機会を多く作ることで、
父親として自分が伝えたかった思いを伝えることができると信じています。
管理部 浅井敬行