導入企業の声　愛東運輸

企業プロフィール

愛東運輸
代表取締役会長　村山明子

事業内容／一般貨物運送、倉庫事業、部品加工事業、内職斡旋事業
設　立／1969年8月
本　社／愛知県刈谷市一里山町南大根31-1
社員数／125名

人間力なくして社業の発展なし

愛知県で運送業を営む私が『致知』を読むようになったのは二〇〇五年、ちょうど先代の後を継いで社長になった頃でした。そして、「自分だけでなく、社員の人間力向上なくして企業の活性化もあり得ない。それを実現する具体方法はないだろうか」と模索していた時、親しくしていた経営者の方からご紹介いただいたのが社内木鶏会でした。
早速その方の会社に見学に行ってみると、やんちゃそうな男性社員が『致知』を片手に感想文を活発に発表し合っている光景や、社員へ向けた社長の堂々とした素晴らしいスピーチに、「これなら読書が苦手な当社の社員にもできるかもしれない」「社長はこうでなければいけない」と非常に感銘を受けたのです。
既にこの時には導入の決意はほぼ固めていたのですが、その後も、社員を伴って社内木鶏企業を数社見学に行き、幹部社員の同意もきちんと取りつけた上で、二〇〇九年五月より、まずはリーダー会の十二名で社内木鶏会をスタートさせました。
一年弱続けた頃、全社員で社内木鶏会をしている企業の事例をＤＶＤで見る機会があったのですが、かねて「リーダー会だけでなく全員でやったらどうですか」という声が出ていたこともあり、翌月から全社員での木鶏会に切り替えました。その中で感想発表の仕方なども皆で話し合いながら少しずつ整えていったのです。

目指すのは社員の幸せ

最初は「何を始めるんだ」という反発の空気を感じましたが、「案ずるより産むが易し」で、回を重ねるごとに内容も充実し、会社全体が変わっていきました。例えば、「あそこの荷下ろし場は危ないから気をつけて」「元気ないけど大丈夫か」など社員同士で気遣い合ったり、トラックの運転を交代する時に「いつもありがとう」と声を掛け合ったりと、社内のコミュニケーションが非常によくなっていきました。
それに伴い、社員の定着率も上がっていき、業績もおかげさまでずっと右肩上がり。お客様からも「愛東運輸さんの社員はとても仲がよいですね」と言っていただける機会も増えていきました。それも社員が『致知』に学び、「自分だけでなく、皆のために生きることが大事なんだ」という思いを全社で共有できるようになったからだと感じています。これはある社員の感想文に書いてあったことでもありますが、やはり思いが変わると、周囲が変わり、会社が、人生が変わっていくのです。
私にはトラックを運転する力も優れた営業力もありません。しかし経営者として、「当社と出逢った人々を幸せにできる会社にしたい。そのために、社員の心に灯を燈す、人生を豊かにする〝心の教育〞を与えてあげることはできる」という強い思いで社内木鶏会を続けてきました。
また私は、社員は皆大事な家族だと思ってきました。社員の感想文には必ずすべて目を通してコメントしていますし、悩みがありそうな社員には「ちゃんとあなたのことを気にして見ているからね」と伝えています。
今年当社は五十期の節目を迎えました。この一年は次の五十年に繋つながる大事な年。「企業は人なり」という言葉もありますが、いまの時代、企業が人々の人間教育の最後の砦だと私は考えています。
「一人ひとりが愛東運輸だし、一人ひとりの愛東運輸だよ」。その思いでこれからも社内木鶏会に学び、社員の幸せ、社会に貢献できる会社を目指して歩んでいきたいと思います。