2022年12月16日
2020年末に第1弾が発売されて以来、いまも連日、読者の皆様から感動の声が寄せられている「1日1話、読めば心が熱くなる365人の教科書」シリーズ。
わずか1ページの分量でありながら、一つひとつのお話には、胸が熱くなる感動が詰まっています。
全部で730あるお話の中で、皆さまの心に最も深く残ったのは、どのお話だったでしょうか?
「1日1話、読めば心が熱くなる365人の教科書」シリーズの中から、致知出版社社員が特に心に残った記事と、その感想をシェアしていきます。
『1日1話、読めば心が熱くなる
365人の生き方の教科書』
6月13日 死んでも構ん、踊りたい
―堀内志保 (元がんの子供を守る会高知支部代表)
詩織は自分が悪性のがんであり、しかも生存率が低いということを知っています。それは告知をしたというよりも、私自身がとにかく病気に関する情報を得たいと様々な学会などに顔を出していたことから、いつの頃からか自然と気づいていたようでした。もちろん、本人もすべてを受け入れているわけではなく、体調に異変があれば「自分も死ぬんじゃないか」と不安を顕あらわにすることはあります。
しかし、「あなたは大丈夫。何があっても私が守るから」と抱きしめながら、今日まで歩んできました。そんな詩織が地元高知でも有名なよさこいチームである「ほにや」に入ったのは、7歳の時です。激しい運動は禁止、体育の授業も見学と先生に言い渡されていたのですが、入院している時から「よさこいを踊りたい、踊りたい」と言っていたのです。5月5日のこどもの日に「ほにや」さんが子供たちに「正調よさこい」を踊らせる企画があると聞きました。正調よさこいは、昔ながらの振り付けで、動きも激しくありません。数日後、詩織は「ママ、ほにやのチームに入って踊りたい」と言い出しました。「ほにや」は「よさこい」祭りで毎年賞を取り続けているチームです。しかも正調よさこいとは違ってかなり激しい振り付けです。
もし真夏のよさこい祭りで踊ったりしたら炎天下の中、かなり体力を消耗することになりかねません。
「そんなことしたら、あんた死ぬかもしれんで」
思わず口をついて出た言葉でした。しかし詩織はまっすぐ私を見返してこう言ったのです。「死んでも構ん、踊りたい」一瞬、言葉を失いました。わずか7歳の娘が死んでもいいから踊りたいと言う、その意志の強さに驚いたのです。
そして、あの日心に決めたことを思い出しました。「そうだ、詩織の望むすべてのことをさせてあげると決めたんだ」私は「ほにや」さんに入会を頼みに行きました。
県内屈指の人気チームですから、受かるとは思っていなかったので病気のことは伏せて申し込みました。しかし合格したからには黙っているわけにはいきません。社長さんに「踊っている途中で道端で倒れてもいいから、やらせてあげてください」とお願いしました。
スタッフの皆さんは事情を知った上で詩織を温かく迎えてくれました。もちろん踊りに関しては一切特別扱いはありません。しかし、詩織は親の私も驚くほどの負けず嫌い。練習後、帰宅してからも家の窓ガラスを鏡代わりに自主練習を続け、次に「ほにや」の練習に参加する時までにはできるようになっているのです。そうして7歳で迎えたよさこい祭り、詩織は「ほにや」の踊り子として参加しました。大人から子供までチームに登録している中から選抜された150名に入ったのです。一番のメインストリートである追手筋に入ってきた詩織の姿を見た時は号泣しました。それまではいつも、どこでも「いつ死ぬか、いつ再発するか」と病気のことばかり考えてきました。しかしいま詩織がこの大歓声の中で楽しそうに笑って踊っている。それは詩織の命が精一杯の輝きを放っているように見えました。
致知出版社 致知編集部 坂下康紀
「死んでも構ん、踊りたい」
僅か7歳の少女が死んでもいいから踊りたいと言う。詩織さんのように、悪性のがんを有し、生存率の低さを自覚した人が発するこの言葉ほど重く、覚悟の込められた言葉はない。まさに平澤先生の言葉「生きるとは燃えることなり」である。
この信念を燃やし続けたからこそ、詩織さんは現在も元気に活動されているのだろう。
やりたくても追い求めることができない人は世界中に大勢いる。その事実を私たちは噛み締める必要がある。
毎朝自分に問いかけよう。「目の前の仕事に命を燃やしているだろうか?」
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◆募集内容
『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』もしくは、『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』の中から、最も強く心に響いたお話と、その理由(250字程度)を下記の投稿フォームよりお送りください。
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