致知社員が選ぶ!365教科書シリーズ「1日1話、私のイチオシ」vol.3

社員の日常

2020年末に第1弾が発売されて以来、いまも連日、読者の皆様から感動の声が寄せられている「1日1話、読めば心が熱くなる365人の教科書」シリーズ。
わずか1ページの分量でありながら、一つひとつのお話には、胸が熱くなる感動が詰まっています。
全部で730あるお話の中で、皆さまの心に最も深く残ったのは、どのお話だったでしょうか?

「1日1話、読めば心が熱くなる365人の教科書」シリーズの中から、致知出版社社員が特に心に残った記事と、その感想をシェアしていきます。

『1日1話、読めば心が熱くなる
365人の生き方の教科書』

11月23日 エブリ デイ マイ ラスト 
―福嶋正信(東京都立小山台高等学校野球部監督)

忘れもしない、あの事故が起こったのは、私が野球班(部)監督として東京都立小山台高校に赴任し、2年ほど経った2006年6月3日のことでした。「福嶋先生、夏の大会も1か月に迫ったので新しいバットを買いに行きたいのですが、大輔も連れていっていいですか?」市川大輔は、当時2年生唯一のレギュラー。派手さはないけれど、何事にもコツコツと一所懸命に取り組む、誰からも信頼される選手でした。私は、「いいぞ、大輔も先輩といっしょに行ってこいよ」と、練習が終わった後に、子供たちを近くのスポーツ店に送り出したのです。

しかし、それが大輔との今生の別れになるとは、夢にも思いませんでした。皆で購入したバットを手に帰宅の途に就いた大輔は、自宅マンションに設置されていたシンドラー社製のエレベーターに挟まれる事故に遭い、帰らぬ人となったのです。大輔は手にバットを握り締めたまま亡くなっていたといいます。あの時、大輔を買いに行かせなかったなら……。事故後、私も生徒たちも、大輔のことが悔しくて、悲しくて、大粒の涙が止めどなく溢れ、練習することさえままなりませんでした。そんな私たちに、再び前を向いて一歩を踏み出す力を与えてくれたのが、大輔のお母さんから届いた、「皆さん、悲しい顔で練習をしていたら大輔が泣きます。だから笑顔で練習してくださいね」というお手紙。

そして大輔が野球日誌に書き残した次のような言葉の数々でした。「当たり前のことを当たり前にやる。でもそれが難しい」「一分一秒を悔いのないように生きる。精いっぱい生きる」「エブリ デイ マイ ラスト」泣いていてはいけない、大輔のためにも笑顔でプレーしよう、毎日を精いっぱい生き、絶対に甲子園にいこう──。

小山台は都内有数の進学校で練習スペースも時間も限られており、甲子園はおろか上位進出さえ難しいのが現実でしたが、大輔の事故をきっかけにしてチームとしての絆が深まり、必死に練習に励むようになったのです。私もまた、大輔が遺した言葉をもとに、「日常生活に野球の練習がある」「何事もコツコツ努力する先に光があるんだ」と、選手たちに心の持ち様や、日常の基本姿勢の大切さを、以前にも増して強調するようになりました。

そのような“大輔のために”という私たちの思いが、天国の大輔に届いたのでしょうか。事故から4か月後に行われた千葉経大附高との試合中、ベンチに座っていると一匹の赤トンボが私の膝に止まり、じっと動こうとしません。私はハッとして、思わず「大輔か?」と手を伸ばすと、赤トンボは私の指にしっかり止まったのでした。さらに指から離れていった赤トンボに「おい、大輔!」と呼び掛けると、またぴゅーっとベンチに舞い戻ってくる。その瞬間、私も選手たちも涙が溢れて止まらなくなりました。奇しくも大輔が最初に活躍してレギュラーを勝ち取ったのがこの千葉経大附高のグラウンド。大輔は赤トンボに姿を変え、私たちのもとに戻ってきたのです。

致知出版社 管理部 太田優香

野球部の少年の命を突然奪った不慮の事故。
2006年6月3日、いつも通り練習をしていた高校2年生の少年が亡くなってしまうことは誰も予想することは出来なかっただろう。
人の命は、いとも簡単に奪われてしまう。今日元気に隣で笑ってくれる人が、明日も当たり前にいてくれるとは限らないと感じました。
その少年の野球日誌に書いてあった言葉

「エブリ デイ マイラスト」

1日1日、この瞬間同じものは一つもない。
これが最後なんだいう気持ちでいまここに生かされていることの有難さを噛み締めながら生きていきたい。

皆様の感想を募集します!

皆さまからの熱い想いもぜひお聞かせいただければ嬉しく思います。ご投稿をお待ちしております。

◆募集内容
『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』もしくは、『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』の中から、最も強く心に響いたお話と、その理由(250字程度)を下記の投稿フォームよりお送りください。

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