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これは小説でも専門書でもない
味わったことのない圧倒的な読後感
「いまから母を殺しに行きます」
やや上気した表情でわたしにそう告げて、バッグからナイフを取り出し、この女性は立ち上がった。
向かいに座るわたしを見下ろし、「いいですね」、と――。
そんな緊迫したやりとりを、20代の女性と交わすところから本書は始まります。
著者は、河合隼雄氏の愛弟子として四十年以上の薫陶を受けてきた臨床心理士。
多くの人々の相談に応じてきた心理臨床の実践を、
専門家ではない人たちにも理解していただきたいという思いから、本書は綴られました。
脳性麻痺を患った少年から教えられたこと、3か月間沈黙したまま去っていった青年など、
時に難渋し、時に激しく苦悩しながら、目の前の相手(ひと)との出会いにすべてのエネルギーを傾け、
その相手を知ろうとする覚悟を持って向き合ってきた幾多のやりとりが生々しく語られます。
著者は「生きることの苦悩に向き合う臨床家は、その苦悩に押し潰されてはならない。
そこから逃げ出してはならない」と述べます。
それぞれに辿ってきた人生は様々ですが、深い悲しみや苦悩と対峙し、
その人生を引き受けて生きていこうとする人々の姿と、その苦悩に寄り添い、
ともに生きようとする著者の姿勢に深く心を打たれます。
読後に、心の奥底から生きる力が込み上げてくる一冊。
刊行に寄せて
それぞれの人生のなかで、そのときどきに出会う諸々のことを、ひとは抱えて生きていかねばならない。
長い人生のなかには、予期せぬこともやってくる。
それが喜ばしいことなら、それを糧にさらに前を向いて生きていける。
けれども、それが辛く苦しいことなら、そこで立ち止まり、先に踏み出す力を蓄えていかなければならない。
そのようなときに、そのひとの傍らにいて、
力が蓄えられていくときの歩みをともにする存在、それが臨床家である。
それは、現在(いま)を生きるそのひとが、これまでの人生と現在をつないで、
そうしてこれから先の人生を生きていこうとする、そのような人生の物語の道往きをともにする存在でもある。
――プロローグより
* 目次 *
プロフィール
皆藤章 ―― かいとう・あきら
1957年、福井県大野市生まれ。京都大学工学部に入学するが、3年次に教育学部に転じ、河合隼雄に出会う。以後、40年以上に亘り、その薫陶を受けるとともに、心理臨床学を専攻し、研究と実践に傾注して現在に至る。これまでに幾多の人びとの相談に応じてきた。大阪市立大学(現 大阪公立大学)助教授、甲南大学助教授を経て、京都大学大学院助教授となり、2008年同教授。2018年に早期退職。ハーバード大学医学部客員教授を経て、現在、奈良県立医科大学特任教授。京都大学名誉教授。博士(文学)。臨床心理士。
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