「人生を照らす言葉」とは……

「人生を照らす言葉」は、古今の優れた文学作品の中から生きる上での知恵を学ぶ『致知』の人気連載です。長年、多くの人の悩みに寄り添ってきた文学博士・鈴木秀子先生の言葉が疲れた心を癒やし、前に進む勇気を与えてくれます。

鈴木先生の文学への想い

「名作を通して人生の苦悩に向き合っていくと、その力がこちらに向かって押し返してくる。そこにいろいろな気づきや発見がある。こういう体験は文学でしか得ることはできません。
文学は人間の中に潜んでいる邪悪なものを洗いざらい私たちに見せてくれます。間違って悪に傾きかねない心を人間誰もが持っている。それをどう乗り越えて人間らしく生きていくかという世界に文学は誘ってくれるんですね」――『致知』2008年9月号より

これまでこんなお話を紹介してきました

  • 2008年9月号 第1回

  • 2022年10月号 第154回

  • 『本日は、お日柄もよく』原田マハ

    「驚いたことに、そのおばさんは、さっきからひと言も話していなかった。全然、「言葉を操る」感じじゃなかった」原田マハ『本日は、お日柄もよく』——どのようにしたら人の心を打つ話ができるか。誰もが考えるこの問題に原田マハさんの小説『本日は、お日柄もよく』は多くのヒントを与えてくれます。単にスピーチ力向上のノウハウのみならず、生きていく上での知恵を学ぶことができます。

  • 『荒城の月』土井晩翠

    「天上影は替らねど栄枯は移る世の姿写さんとてか今もなお嗚呼荒城の夜半の月」土井晩翠『荒城の月』——荒れ果てた城を題材に世の栄枯盛衰をうたった唱歌『荒城の月』。日本人に馴染みの深いこの詩が教えてくれる人生の智慧とはどのようなものでしょうか。

  • 『道程』高村光太郎

    「僕の前に道はない僕の後ろに道は出来る」高村光太郎『道程』——文学には人を励まし、勇気づける不思議な力があります。ここでは新しい年を迎えたいま、心に留めていただきたい四篇の詩を紹介します。壁にぶつかった時など、これらを口ずさむことで大きな力が得られることでしょう。

  • 『富嶽百景』太宰 治

    「念々と動く自分の愛憎が恥ずかしく、富士は、やっぱり偉い、と思った。よくやってる、と思った」太宰 治『富嶽百景』——『富嶽百景』は太宰 治の作品の中でも、ほのぼのとした温もりが感じられる小説の一つです。太宰が描く富士の姿を人間や人生に置き換えることで、小説の世界がより大きな広がりを見せていきます。

  • 『セロ弾きのゴーシュ』宮沢賢治

    「やろうと思えばいつでもやれたんじゃないか、君。」宮沢賢治『セロ弾きのゴーシュ』——私たちの人生は、あらゆる機会を通して死ぬまで成長することができます。理不尽な出来事を踏み堪えながらも、いつしか大きく成長を遂げていく様を、宮沢賢治はゴーシュの姿を通して描きました。

  • 『うつくしいもの』八木重吉

    「どこにか「ほんとうに美しいもの」はないのか」八木重吉『うつくしいもの』——財や社会的地位を得ることを目指して生きていても、決して本心の満足を得ることはできません。私たちは誰もが深いところで「ほんとうに美しいもの」を求め続けており、人生はそこに至る人間的成長の場なのです。

鈴木先生から『致知』へ推薦のお言葉

『致知』は人間として最も大切な精神力や徳を、日々の生活の中でどのように養っていき、他の人を尊重しながら、協力し合い、世に貢献していくかを、具体的に示唆する尊い役割を果たし続けてきました。
こうした今の世に得難い存在である『致知』のますますのご発展を心からお祈り申し上げます。

鈴木秀子

すずき・ひでこ――東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。聖心女子大学教授を経て、現在国際文学療法学会会長、聖心会会員。日本にエニアグラムを紹介。著書に『自分の花を精いっぱい咲かせる生き方』『幸せになるキーワード』(共に致知出版社)『死にゆく人にあなたができること』(あさ出版)『機嫌よくいれば、だいたいのことはうまくいく。』(かんき出版)など多数。

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