ベストセラー作家・五木寛之氏が、
松原泰道師と月刊誌『致知』で対談したのは平成20年。
それから10年後の平成30年、鬼籍に入った松原師を敬慕する
横田南嶺氏と五木氏の対談が『致知』で実現しました。
人生100年時代。
万人に平等に訪れる「死」を前提に、私たちはいかに生きるべきか――。
現代を生きる私たちの永遠のテーマともいうべき本質的な問いを、
3度にわたって縦横に語り合い、大きな話題となった対談が、
待望の書籍化となりました。
松原師の教えに始まり、仏陀の歩み、名僧たちの生き方など、
宗派を問わず仏の教えを紐解くのみならず、
五木氏は
「宗教の始祖が世を去った年齢と、その宗教の本質には
深い関係があるのではないか。
80歳で入滅した仏陀を祖とする仏教は、
最も高齢を迎えた人たちにとって大事なことを語っていると思う」
と考察。
「下山の思想」「80歳からの20年をいかに生きるか」
「運命との向き合い方」「人生を豊かにする3つのK」など、
両氏のさまざまなご体験を交えながら、
仏の教えをいかに人生に生かすかが語り尽くされています。
お二人の語り合いから、この大転換期を歩んでいくための
貴重な指針を得ることができるでしょう。
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目次
第一章 咲いた花は必ず散る――松原泰道師の残したもの
二十九年間教えを受けた心の師
あの前途有為な若い人たちに申し訳ない
難しいことを易しく語る
いま考えるべきはいかに死ぬかということ
老いて初めてわかる苦しみ
百人のうちの九十九人は塵芥と一緒に流れていく
第二章 生老病痴の四苦を生きる――人生百年時代の生き方
死は苦ではなく、苦からの解放なのではないか
ブッダの時代には想定されていなかった認知症の問題
百年人生と下山の思想
八十歳からの二十年間をいかに生きるか
宗教の本質は始祖が世を去った年齢と深く関係している
梵天勧請こそが仏教の始まりである
縁なき人に縁を結んでいくのが仏教の根本精神
仏教の本質は人間の生き方を追求していくところにある
ブッダの足跡をたどってみてわかってきたこと
第三章 すべては「語る」ことから始まった――教えの神髄
書くことよりも対面して語ること、そしてそれを聴くこと
語られることの代用品として本が生まれた
“いまここで”を大事にする六祖慧能の頓悟禅
法螺を吹き太鼓を叩き、歌に託して教えを伝える
超人的な記憶力を持つ人たちがお経を伝えてきた
第四章 仏教という光に導かれて――感動、工夫、希望の実践
自分は許されざる者という後ろめたさ
親鸞、蓮如との出会い
自力と他力、どちらが先か
施しをする側が感謝をするのが布施のあり方
困っている人のために自分には何ができるか
苦しみの中にある人にせめて一時の喜びを
人生を豊かにする感動、エ夫、希望の三つのK
第五章 すべては大きな流れの中にある――不条理の捉え方
少々のことがあっても人間は生き延びていく
平成というのはどんな時代だったか
努力はウソをつく、でも無駄にはならない
努力で超えられないものをどう受け止めるか
有形無形の様々なものを相続して生きている
第六章 天の命によって自力を尽くす――運命と天命
父から受け継いだ一所懸命働く姿勢
自分の中に芽生えてくるものの正体
運命という抗いがたい力がたしかに存在する
運命とは親から相続するものでもある
人事を尽くさんとするはこれ天の命なり
社会的に報われない人たちに温かい目を向けた夢窓国師
近代日本に失われた「怨親平等」の意識
八十歳、九十歳の人たちの言葉が求められている
第七章 人生に活かす仏教の教え――もう一人の自分に気づく
仏教の根底にある慈悲の心
「慈」は与楽、「悲」は抜苦
人間には生まれ出づる苦しみというものがある
医療の発達がもたらした新たな苦
いかにして自分の死を納得して迎えるか
平安時代に一世を風靡した臨終行儀
死のカルチャーを確立すべき時が来ている
死を前提にしてどう生きるかを考える
自力他力を超えたところにあるもの
「信」に目覚めるとは仏に気づくこと
心が開けると見えてくる世界がある
自分の中にいるもう一人の自分に気づく
背後に照らす光があるから影ができる
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著者プロフィール
五木寛之(いつき・ひろゆき)
昭和7年福岡県生まれ。生後まもなく朝鮮に渡り、22年に引き揚げる。27年早稲田大学露文科入学。32年中退後、PR誌編集者、作詞家、ルポライターなどを経て、41年『さらばモスクワ愚連隊』で小説現代新人賞、42年『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞、51年『青春の門筑豊篇』ほかで吉川英治文学賞を受賞。また英文版『TARIKI』は平成13年度『BOOK OF THE YEAR』(スピリチュアル部門)に選ばれた。14年菊池寛賞を受賞。22年に刊行された『親鸞』で毎日出版文化賞を受賞。
横田南嶺(よこた・なんれい)
昭和39年和歌山県新宮市生まれ。62年筑波大学卒業。在学中に出家得度し、卒業と同時に京都建仁寺僧堂で修行。平成3年円覚寺僧堂で修行。11年円覚寺僧堂師家。22年臨済宗円覚寺派管長に就任。29年12月花園大学総長に就任。著書に『人生を照らす禅の言葉』『禅が教える人生の大道』『自分を創る禅の教え』など多数。共著に『生きる力になる禅語』(いずれも致知出版社)など。