『寝たきり社長 佐藤仙務の挑戦』

筋肉がどんどん動かなくなる難病・脊髄性筋萎縮症を抱えながらも、19歳で起業した佐藤仙務氏。ITをフル活用し、独自の勤務体制で障害者雇用を推進するなど、各メディアからも「寝たきり社長」として注目を集めています。

本書はジャーナリストである著者が、佐藤氏の生い立ちを追いながら、重度障害というハンディとどう向き合い、いかに克服していったのかを描いたノンフィクション作品。
若くして死別した同級生、就職するつもりだった職場での研修中に、年配者から投げ掛けられた「お前のような軟弱障害者、ろくな人生を送れないぞ」という心ない言葉……。様々な試練や逆境が佐藤氏を襲いますが、持ち前の闘争心とポジティブな思考は、不可能と思えたことを可能にし、周囲の意識を変え、多くの協力者を得ていくことになります。
「障害者だから仕方がない、と嘆きながら、悲しみに暮れ、生きていたくない」という佐藤氏。

障害者に限らず、人間の能力にはそれぞれ差異がありますが、大切なのはそれを受け入れ、克服する術を編み出せるかどうか。一人ひとりの人間が持つ計り知れない可能性を実感し、大きな勇気をもらえる1冊です。

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ガイアの夜明けに「寝たきり社長」が出演 5/22(火) 22時~


目次

第1章 人生を変えた衝撃  「僕たちがここまでできるっていうことを社会に証明してやる!」
   障害者にとっての理想の職場
   ハンディを克服する工夫
   運命を変えた出来事
   本当に相談できる相手は誰なのか?

第2章 佐藤仙務の少年時代  障害は工夫で克服しろ!
   寝たきり社長の進化する仕事術
   障害は工夫で克服しろ
   余命十年という乗り越えられない壁
   仙務を障害者扱いはしない
   仕事の糧となるパソコンとの出会い
   進行性という障害
   特別支援学校でのつらい別れ
   相棒・松元の存在
   余命十歳の壁も克服した

第3章 松元拓也の少年時代  障害があっても、出来ないことだけを誰かに介助してもらえれば、普通なんですよ。
   超ポジティブな障害者
   普通と変わらない障害者とは
   全く逆の育て方をした松元家と佐藤家
   ITの申し子
   人を満足させるためには自分に妥協するな
   人間って、あっけなく死んでしまうんだな

第4章 『仙拓』誕生  お客さんに喜んでもらってこそ、仕事となる
   絶妙のタイミング
   最初の仕事で覚えた教訓
   ITの進化が障害者の生活を一変させた
   松元の初恋
   二人で会社を作ろう
   税理士が見つからない

第5章 『寝たきり社長』誕生  二人で障害者のイメージを変えてやろう!
   重度障害者だけというこだわり
   仙拓の役割分担
   初任給で母に送ったプレゼント
   二人で作った寝たきり社長というヒーロー
   寝たきり社長が新聞に
   二十一歳で本を出すという夢

第6章 多彩な人脈づくり  人から応援されたければ、まず自分が応援できる存在になれ!
   ギブアンドテークの法則
   応援できる存在になりたい
   華麗な人脈づくり
   メッセージを伝えるということ
   総理夫人とは知らなかった

第7章 障害を持った仲間たちのために  障害がキミの武器になる!
   亡くなった同級生たちのために
   仙拓の社員たち
   障害者カウンセラーの育成
   大企業への営業

第8章 それぞれの道へ  第二ラウンドはそれぞれの道で闘っていこう!
   命より大事な声を失う
   佐藤が作詞した応援ソング
   社会を変える新システム
   それぞれの道へ

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ガイアの夜明けに「寝たきり社長」が出演 5/22(火) 22時~

あとがきにかえて

僕はこれまで、自分で本や記事を書いてきたことはあった。けれど、今回のように著者ではなく、物語の主人公として書いていただけるとは正直まったく想像していなかった。

 ――寝たきり社長 佐藤仙務の挑戦

 今回、この本を書いてくださった塩田芳享さん。気付けば、塩田さんとはかれこれ三年ほどの付き合いになった。親子ほど年の離れている僕らだが、僕は塩田さんとお会いするたびにこんなことを考えてしまう。

 「年齢ってなんだろう。障害ってなんだろう」

 人は生きていく中でさまざまな困難にぶち当たる。

すると、多くの人はそんな時にこういう言葉を口にするのだ。

 「~だから、仕方がない」

 もう年なんだから仕方がない。女性として生まれたのだから仕方がない。何より、障害者である僕の周りで多いのが「障害者だから仕方がない……」という人だ。僕も障害者として生きてきたわけなので、そんな人たちの気持ちはわかる。けれど、僕は「障害者だから仕方がない……」と嘆きながら、悲しみに暮れ、生きていきたくないのである。

 僕はこの世に生を享けた。神様は僕に対しては無愛想だし、微笑みもしてくれなかった。しかも、障害という過酷な試練までも与えてきた。だから、嫌になることはたくさんあった。もう死にたいと思ったこともあった。

でも、塩田さんと出会い、僕は一つ大きなことに気がついた。それは神様が僕に与えたものは「試練」なんかじゃなくて、本の中で塩田さんが書いた「天命」だったのだ。

 「佐藤くん、俺は君にならできるといつも信じているから」

 これまで、塩田さんに何度もかけられた言葉だ。この言葉を聞くたび、僕は本当に、力強く、背中を押してもらえる。

 ――僕にだって、できることはたくさんあるんだ。

 そして最近、ふと思うことがある。塩田さんは神様が僕に送り込んだ使者なのかもしれないと。そしてもし、この本を神様が読んだら――ちょっとだけ微笑むかもしれないと。

著者略歴

塩田芳享(しおだ・よしたか)

昭和32年東京都生まれ。医療ジャーナリスト・演出家。成城大学文芸学部卒業。日活・松竹などで映画の助監督を務めた後、NHK・日本テレビ・TBSなどでディレクターや報道番組演出を手がける。現在は医療ジャーナリストとして、医療事故、救急医療、研修医問題、高齢医療、胃ろう問題などに対して、映像演出のほか取材・執筆活動も行う。主な映像作品に、ドキュメンタリー人間劇場『捨てたら終わりや』(ギャラクシー奨励賞、芸術祭参加)、報道ドキュメンタリー「シリーズ・ER24時」が、著書に『口腔医療革命 食べる力』 (文春新書)、『医療に頼らない理想の最期』(日新報道)などがある。

 

 

登場者略歴

佐藤仙務(さとう・ひさむ)

平成3年愛知県生まれ。4年、脊髄性筋萎縮症と診断される。10万人に1人といわれる難病で、筋肉がどんどん萎縮し、自力で立ち上がることも歩くこともかなわなくなるという。22年、愛知県立港特別支援学校商業科を卒業。当時、障害者の就職が困難であることに挫折を感じ、ほぼ寝たきりでありながら、23年、19歳で幼馴染とともにホームページや名刺の作成を請け負う合同会社「仙拓」を創業。現在、株式会社仙拓代表取締役社長。自らを“寝たきり社長”と名乗り、日本を変えるフロントランナーとして、いま全国から注目を浴びている。著書に『寝たきりだけど社長やってます』(彩図社)、共著に『2人の障がい者社長が語る絶望への処方箋』(左右社)。

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メディア情報

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