七夕に笹を飾るのはなぜ? 七夕から日本文化の素晴らしさを知る──井垣利英

7月7日は七夕の日。毎年定番の行事ですが、その由来となった織姫・彦星伝説について、笹かざりや短冊を吊るす理由などは、あまり知られていないのではないでしょうか。本記事では人材教育家・井垣利英さんの著書『開運 #年中行事はじめました』(致知出版社刊)から、知っていると年に一度の七夕という日がより特別なものに感じられる3つの話をご紹介します。

織姫・彦星伝説の意外な名脇役

〈井垣〉
七夕(たなばた)の物語は、もともと中国から伝わったもの。むかしむかし、天の川のそばに神さまが住んでおり、織姫(おりひめ)という名の娘がいました。織姫は機織(はたおり)が上手でよく働きました。神さまが娘に婿を迎えようと探したのが、働き者の牛飼いの彦星(ひこぼし)です。

二人は出会うとすぐに恋におちて、結婚しました。ところがあまりに好きすぎて、二人で遊んでばかりいて仕事をしなくなったのです。それを見た神さまは怒ってしまい、二人を天の川をはさんで、引き離してしまいました。ただし年に一度、77日の夜にだけデートすることを許されたのです。

その日は、かささぎという鳥たちが飛んできて、翼を並べて橋となり、織姫はその橋を渡って彦星に会うことができました、というお話です。

最後の「かささぎの橋」の部分を抜かして覚えている人が多いようです。でも、この部分は昔から、人々の心をつかんできました。小倉百人一首にも、中納言家持(ちゅうなごんやかもち)のこんな歌が入っています。

かさゝぎの渡せるはしに置く霜の しろきをみれば夜ぞ深(ふ)けにける

「かささぎが渡したという、織姫が渡った天の川の橋。そのようにも見える宮中の階段に霜が降りて白々と見える。もう夜がふけてしまったのだとしみじみ思う」というような意味です。

ノーベル賞を受賞した作家の川端康成も、「かささぎ」というタイトルの短編を書いていますよ。鎌倉にある自分の家の庭にかささぎが何羽もおとずれて、中納言家持の「かささぎの渡せる橋」の和歌を思い出したというお話です。七夕の物語はロマンチックで、日本人にとって昔からなじみの深いものだったんですね。

笹かざりは神さまが宿られるヨリシロ

七夕はもともと中国から伝わってきた行事ですが、願いごとを書いて笹竹にかざる「笹かざり」は、江戸時代に日本で生まれたものです。

笹は昔から「悪い気を祓(はら)う」効果があるとされてきました。昔の暦では、77日は秋の収穫が待ち遠しい時期です。もうすぐお盆を迎えます。そこで、収穫の感謝をし、悪い気を祓って身を清める「禊(みそぎ)」の意味も、笹かざりには込められます。

笹かざりを家の外に高くかざるのは、神さまが宿られるヨリシロと考えられていたからです。また自分の体調の悪いところや穢(けが)れなどをうつした人形をかざり、「風によって悪い気を祓ってもらう」という大事な目的がありました。

笹かざりは76日の夕方にかざり、七夕の翌日の8日には、川や海に流してしまうのが習わしでした。「七夕送り」といわれます。でも今は環境の問題があるので、天然塩をまいて、袋に入れて、一般のゴミとして出せばいいと思います。

短冊の色に込められた意味

七夕の願いを書くのは「五色(ごしき)の短冊(たんざく)」です。五色というのは青・赤・黄・白・紫(黒)の五色で、中国の五行(ごぎょう)説にちなんだもの。人が守るべき五つの徳「仁(じん)・義(ぎ)・礼(れい)・智(ち)・信(しん)」をあらわしているといわれます。

短冊はこの時期になると、文房具店などで売っています。自分でつくる場合には、和紙を使うとステキですよ。短冊を笹に結ぶ「こより」も、和紙をよってつくりましょう。


(本記事は『開運 #年中行事はじめました』(致知出版社)より一部抜粋・編集したものです)


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◇井垣利英(いがき・としえ)
株式会社シェリロゼ代表取締役、人材教育家、メンタルトレーナー、マナー講師。名古屋生まれ。中央大学法学部卒業。 女性が多く働く全国の企業で、社員研修、講演会を年間100本以上行う。化粧品、ジュエリー、エステティック、介護、幼稚園などで働く女性のやる気とマナーを上げて、売上アップにつなげる日本で唯一の専門家。これまで、3000人以上の自社スクール受講生の人生を好転させた。テレビ出演、新聞、雑誌の取材は200件以上。また15年以上、全国の企業での 社員研修、講演会で、数万人の女性スタッフのやる気とマナーをあげて売上アップにつなげると高い評価を得ている。『仕事の神様が“ひいき”したくなる人の法則』(致知出版社)、13万部を突破した『しぐさのマナーとコツ』(学研)など著書多数。

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