「お客様第一」×社員の活力——ユニクロが躍進した理由 柳井正×岡田武史

長引くコロナ禍でも躍進を続けるカジュアル衣料大手ユニクロ。そこにはどんな経営、組織づくりのヒントが隠されているのでしょうか。ユニクロを擁するファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さんとFC今治オーナーの岡田武史さんに、逆境に負けず、組織の運命をひらく要諦を語り合っていただきました。

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お客様第一と社員の元気さ

〈柳井〉
僕は、「お客様第一」ということをいつも社員に言うんです。

お客様に買っていただいて初めて我われの生活が成り立つということ、日頃からそのことをしっかり認識して目の前の仕事一つひとつに誠実に打ち込まなければ、運命はひらけていかないでしょう。 

それから、現場の社員が元気でなければいけません。活気がない店はダメ。おかげさまでうちの店にはたくさんのお客様に来ていただいています。

ただ、それを当然だと思ってしまうことが一番怖い。決して当然ではないことを自覚して、お客様に「また来よう」と満足していただくことがとても大事です。それを全社員が本気で実践し続けることさえできれば、売り上げはすぐ倍になる。もちろん運命も大きくひらけていくと思いますよ。 

〈岡田〉
僕も同じ思いです。

当初、うちにはスタジアムもありませんでしたから、運動公園に仮設コートをつくってゲームをやっていました。そんなところに雨が降っても観に来てくださるお客さんがいたんです。僕はそういう方を大事にしたいと思ったから、試合が終わったら出口にダッシュして「ありがとうございました。また来てください」ってタオルを配って体を拭いてもらいました。 

ところが後ろを振り返ると、社員はのんびり歩いて来ている(笑)。「おまえら、何やってるんだ!」と叱り飛ばしましたけど、自分が全部やってしまうからよくないのかと反省して彼らに丸投げしたら、今度は会社が潰れそうになるし(笑)。柳井さんがおっしゃる「お客様第一」を社員と共有するために、そんな試行錯誤の連続ですよ。 

〈柳井〉
いまのタオルの件は、岡田さんがまず走って行かれたから全員それに倣うのであって、自分が動かずに「やってこい」と言ったら、そこに親切心はないですよね。率先垂範する背中でボトムアップを促すことが大事で、言葉だけで命令する経営者を従業員は信用しません。そういう経営者は、会社の運命も社員の運命もひらくことはできないでしょうね。


(本記事は月刊『致知』2021年1月号 特集「運命をひらく」の記事から一部抜粋・編集したものです)

◉コロナ「後」ではなく「渦中」のいま、打つべき一手とは? そして、人生・経営の運命をひらく要訣とは――『致知』では各々の挑戦の奇跡を交え、深く語り合っていただきました


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◇柳井正(やない・ただし)
昭和24年山口県生まれ。46年早稲田大学政治政済学部卒業後、ジャスコ入社。47年同社退社後、父親の経営する小郡商事に入社。59年カジュアルウェアの小売店「ユニクロ」第1号店を出店。同年社長就任。平成3年ファーストリテイリングに社名変更。11年東証1部上場。14年代表取締役会長兼最高経営責任者に就任。いったん社長を退くも17年再び社長復帰。28年には売上高でカジュアル専門店世界第3位に。著書に『一勝九敗』『成功は一日で捨て去れ』(共に新潮社)『柳井正わがドラッカー流経営論』(日本放送出版協会)などがある。

◇岡田武史(おかだ・たけし)
昭和31年大阪府生まれ。55年早稲田大学政治経済学部卒業後、古河電工入社。平成2年現役引退。9年監督として日本初のFIFAW杯本選出場を果たす。10年コンサドーレ札幌監督、15年横浜F・マリノス監督に就任。19年日本サッカー協会特任理事、同年9年ぶりに日本代表監督に就任。22年W杯南アフリカ大会でグループリーグを勝ち抜きベスト16に導く。26年FC今治オーナーに就任。著書に『岡田メソッド』(英治出版)、共著に『勝負哲学』(サンマーク出版)などがある。

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