イチローの目標設定術|小さなことの積み重ねが、成功に至る唯一の道

1万本以上に及ぶ月刊『致知』の人物インタビューと、弊社書籍の中から、仕事力・人間力が身につく記事を精選した『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(藤尾秀昭・監修)。致知出版社が熱い想いを込めて贈る渾身の一書です。本日はイチローを独自の視点で長年追い続けている料理評論家・山本益博氏のお話をご紹介いたします。

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「とんでもない」成果を出す、一流の流儀

イチロー選手に初めて直接会ったのは、2004年にメジャー歴代シーズン最多安打記録を塗り替え、262安打という金字塔を打ち立てた、その翌年のこと。場をセッティングするにあたり、東京を代表する食べ物である天ぷらかお鮨を味わってもらいたいと思い、仲介の人を通じて尋ねると、驚くべき答えが返ってきた。

「天ぷらについてはよく知らないので、できればお鮨にしてください」。

なかなか出てくる言葉ではない。普通だと「お鮨が好きだから」と言うはずだ。当日、「すきやばし次郎」で食事をしたのだが、食べ終わった時、店主の小野二郎さんに言ったひと言も圧巻だった。

「次は、僕一人で来てもいいですか」。

これもやはり「おいしかったのでまた食べに来ます」と言うのが一般的だろう。実に謙虚な人であり、人として尊敬できると感じた。食事の後に行ったインタビューで私は開口一番、こう質問した。

「ヒットで出塁すると右肘ひじのサポーターをベースコーチャーに渡した後、ヘルメットの耳当ての穴にバッティンググローブをしたままの右手人差し指を入れますけど、あれはどういう意味なんですか」

すると、彼は最初、「そんなことするかな」と言った後、「緩いヘルメットを被かぶっているから、直しているんだと思います」と答えた。すかさず「いいえ、フォアボールの時にはやりません。ヒットで出塁した時にやります」と返すと、しばらく考え込んで、

「ああ、リセット」と言った。「僕はクリーンヒットでもボテボテの内野安打でも嬉しくて顔に出ちゃう。でも笑ってなんかいられない。一瞬のうちに気持ちを切り替えて次の局面に向かうために無意識にやっていたんでしょう」

本人も気がついていなかった点に着眼したその質問が受けたのだろう。「もっと聞きたいことがあるので、改めてお時間をいただけませんか」との打診に「いいですよ」と言ってくれたばかりか、普段は単独インタビューを断っているにも拘わらず、一時間半以上に及んで私の単独インタビューに応じてくれたのである。その時のインタビューで最も心に残っているのは、目標設定に関する次の言葉だ。

「目標は高く持たないといけないんですけど、あまりにも高過ぎると挫折してしまう。だから、小さくとも自分で設定した目標を一つひとつクリアして満足する。それを積み重ねていけば、いつかは夢のような境地に辿り着く」

別のインタビュー記事でもこう表現している。

「小さなことを重ねることがとんでもないところへ行く唯一つの道」

いまの自分とかけ離れた目標ではなく、努力すれば手の届く小さな目標を設定し、その目標をやり切り、自分との約束を守る。そうして満足感や達成感を積み重ねていくことが大事。この積み重ねるというのは、情熱を持ち続けていないとできないことだろう。


(本記事は『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』より一部を抜粋・編集したものです)


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月刊『致知』2021年8月号の特集テーマは「積み重ね 積み重ねても また積み重ね」。この言葉は、東京タワーや大阪通天閣など、天高くそびえ立つタワーをいくつも設計した日本の建築家・内藤多仲(たちゅう)の座右の銘です。
 小さなことを積み重ねる――本記事で紹介したイチローさんの言葉のごとく、これこそが、とんでもない結果を生む最も大切な基本なのかもしれません。

◇山本益博(やまもと・ますひろ)
昭和23年東京都生まれ。47年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版される。57年に『東京・味のグランプリ200』を出版して以来、日本で初めての「料理評論家」として活躍中。著書に『イチロー勝利への10ヵ条』(静山社文庫)など多数。

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