伝説の外資トップが説く――リーダーが陥る6つの悪弊

シェル石油、日本コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどグローバル・エクセレント・カンパニー6社で社長を務めた経営のプロフェッショナル、新将命さん。新さん曰く「伸びる企業、成長する企業と、ダメな会社、倒産する企業を分ける最大の要因は“社長の品質”に尽きる」と。良かれ悪しかれ企業の運命は、社長一人の品質で80%以上決まってしまうというのです。

その新将命さんがこのたび「経営力と人間力」をテーマに書き下ろしたのが『新将命の社長の教科書』。50年以上にわたるビジネス経験の中から生み出された経営のバイブルから、その内容をひと足先にご紹介します。

人の上に立つ人が陥りがちな、あるべからざる悪弊

リーダーシップの核心には人間力がある。

では、リーダーに求められる人間力とは何か。それが本書で解き明かすべき主題だ。リーダーに求められる人間力というのは、古くて新しいテーマである。日本人は江戸時代から、人の上に立つ人のあり方を『論語』や『大学』などの四書五経を教科書として学んできた。

ところが、それほど長く学んでいながら、我々の人間力はなかなか進歩しない。我々は人の上に立ったとき、ついつい『論語』や『大学』が教示している「あるべき振る舞い」を行わず、得てして「あるべからざる行動」をとってしまう。人の上に立つ人が陥りがちな、あるべからざる悪弊とは概ね次の6つである。

1.人に勝ちたがる
人の上に立つ人、社長やリーダーは経験と実績のある実力者である。いわば勝利の歴史を経てきた人たちだ。それゆえ負けることを極端に嫌う。この気持ちは困難を乗り越えるレバレージ(梃子)となる反面、オレがオレがという自己中心的人間に自分を追い込みやすいし、下手をすると常に人を押しのけるような狭量な人間となる恐れがある。仕事の技量(スキル)はあっても人間的器量(キャパシティー)に乏しいのだ。

2.自分の欠点や過ちを聞くことを恥じ、嫌がる
耳に痛いことを言われることを嫌うのも、人の上に立つ人が陥りやすい隘路だ。社長やリーダーがこうなると、反対意見や異論、苦言を口に出す人を忌避、回避して、自分の周囲を甘言ですり寄って来るイエスマンやごまかす人間で固めようとする。社長やリーダーがお追従や称賛の言葉ばかり聞いていると、そのうちに物事の実態が分からなくなり最後には裸の王様になってしまう。結果として自分を滅ぼし、次に会社を滅ぼす。大切なのはイエスの声ではない。ノーの声である(但し、イエスと言っても、イエス・キリストの声には耳を傾けるべきである!)。

3.口達者
社長やリーダーは部下から尊敬される存在だ。部下は社長やリーダーの言うことを尊重し、積極的に耳を傾ける。人が熱心に自分の話を聞いてくれるというのはだれにとっても気分がよい。自分の優越感や存在感をくすぐられるからだ。そのため社長やリーダーはよくしゃべる。だが、巧言令色鮮し仁といわれるように、饒舌であることは人間力にプラスとはならない。社長やリーダーは聡明才弁より「聴き達者」であるべきだ。「細口巨耳」の人であるべきだ。「八聴き二しゃべり」が望ましいのだが、多くの経営者は「一き九しゃべり」、ひどくなると「ゼロ聴き、十しゃべり」の「無耳巨口」の人である。神様は人間に、口はひとつ、耳はふたつ、目もふたつくれた。よく見てよく聴くほうがしゃべるより四倍も重要だということである。神の摂理に背く人は、ろくな死に方をしない。

4.聡明をてらう
いわゆる秀才型の社長や自称インテリの悪弊である。「深沈厚重なるは是れ第一等の資質なり。磊落豪雄なるは是れ第二等の資質なり。聡明才弁なるは是れ第三等の資質なり」(呂新吾『呻吟語』)という。聡明で弁が立つことは悪いことではない。だが、学問的な知識はスキルである。スキルだけでは、人は喜んでついてこない。皮肉なもので本当に頭のよい人は、自分は頭がよいとは思っていない。まだまだと思っている。頭の悪い人ほど、自分は頭がよいと思っている。

5.わざと威厳を繕う

大方の社長やリーダーは、社員や部下から偉い人と認められたいと思っている。そのため、つい意識して威厳を保とうとする。しかし、威厳とは周囲の人が「威厳あり」と感じるものであり、自ら繕うものではない。真に威厳のある人とは、自然体でありながら、そこにそこはかとなく威厳が漂う人だ。リーダーは人に愛されるだけでは落第である。愛に一定の畏が加わる。畏敬(AWE)される人である。

6.我がまま勝手で我意を押し通す

公正であるべき判断や評価を恣意的に壟断することも、社長やリーダーが犯しがちな過ちである。いわゆる情実人事というものだ。人の上に立つ人は、極度に高い倫理性を身に付けていなければならない。社長やリーダーに高い倫理性が求められるのは、道徳的にそうあってほしいという建前的な願望ではない。そうでなければ組織が弱体化するからだ。人の意見に十分に耳を傾けた上で、自分の信念や価値観で自己を立てる、つまりリーダーには自分はこうだという「我がまま(我が流儀)」が必要である。だが、個人の好き嫌いが先行する我が儘はご法度である。

 

伝説の外資トップが贈る経営者のバイブル

『新将命の社長の教科書』 

新将命・著

定価=1,600円+税

【アマゾンで先行予約受付中】

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目 次
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第1章 リーダーシップ・教養
第2章 教育と人財育成・説明能力
第3章 志・行動力
第4章 権限委譲・決断力
第5章 倫理観・企業家精神
第6章 自責・尊敬
第7章 自己啓発・自己犠牲
第8章 人間力・健康
第9章 改革・高潔
第10章 情熱・人望

・リーダーにカリスマ性はいらない
・説得力の決め手は人間力
・夢を実現する方程式
・中小企業が伸び悩む理由
・人間力とは信頼と尊敬の合計値である
・一流の人は顔で人を導く
・人望は権力や権威からは生まれない
・社長はデキルデキタ人であれ
・サラリーマンとビジネスマンの違い
・チャレンジする勇気をチームに鼓舞せよ
・一日4回メシを食う
・人生は、取り返しはできないがやり直しはできる
・説得力の決め手は人間力
・優れたリーダーは優れたコミュニケーターである
・行動は成功を約束しないが行動しなければ成功はない
・信用は信頼を得るためのステップ
・人間力を高める修羅場のすすめ
・正しい任せ方を知っておこう
・決め方の作法
・リスクをとって決める覚悟と勇気
・最大のリスクとはリスクを取らないことである
・生き続けるとは変わり続けること
・馬車を10台つないでも列車にはならない
・イノベーションが産業を生む

 

◇新将命(あたらし・まさみ)

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1936年東京生まれ。早稲田大学卒。株式会社国際ビジネスブレイン代表取締役社長。
シェル石油、日本コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、フィリップなど、グローバル・エクセレント・カンパニー6社で社長職を3社、副社長職を1社経験。2003年から2011年3月まで住友商事株式会社のアドバイザリー・ボード・メンバーを務める。「経営のプロフェッショナル」として50年以上にわたり、日本、ヨーロッパ、アメリカの企業の第一線に携わり、今も尚、様々な会社のアドバイザーや経営者のメンターを務めながら長年の経験と実績をベースに、講演や企業研修、執筆活動を通じて国内外で「リーダー人財育成」の使命に取り組んでいる。著書に『経営の教科書』『リーダーの教科書』『王道経営』(いずれもダイヤモンド社)『最強のリーダー力』(日本文芸社)『信じる力』(東洋経済新報社)などがある。

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