稲盛和夫が語る“人格の方程式”とは??

京セラやKDDIを創業し、それぞれ大企業に育て上げ、倒産したJALを僅か2年8か月で再上場へと導いた稲盛和夫さん。新・経営の神様との呼び声高い、稀代の名経営者が語る、仕事や人生を成功へと導く“人格の方程式”とは――

人格は「性格+哲学」

(稲盛)

世間には高い能力を備えながら、心が伴わないために道を誤る人が少なくありません。

私が身を置く経営の世界にあっても、自分さえ儲かればいいという自己中心の考えから、不祥事を引き起こし、没落を遂げていく人がいます。

 いずれも経営の才に富んだ人たちの行為で、なぜと首をひねりたくもなりますが、古来「才子、才に倒れる」といわれるとおり、才覚にあふれた人はついそれを過信して、あらぬ方向へと進みがちなものです。

 そういう人は、たとえその才を活かし一度は成功しても、才覚だけに頼ることで失敗への道を歩むことになります。

 才覚が人並みはずれたものであればあるほど、それを正しい方向に導く羅針盤が必要となります。

 その指針となるものが、理念や思想であり、また哲学なのです。そういった哲学が不足し、人格が未熟であれば、いくら才に恵まれていても、せっかくの高い能力を正しい方向に活かしていくことができず、道を誤ってしまいます。

 これは企業リーダーに限ったことでなく、私たちの人生にも共通していえることです。

 * *

 この人格というものは

 「性格+哲学」

 という式で表せると、私は考えています。

 人間が生まれながらにもっている性格と、その後の人生を歩む過程で学び身につけていく哲学の両方から、人格というものは成り立っている。

 つまり、性格という先天性のものに哲学という後天性のものをつけ加えていくことにより、私たちの人格は陶冶されていくわけです。

 言い換えれば、哲学という根っこをしっかりと張らなければ、人格という木の幹を太く、まっすぐに成長させることはできないのです。

 (本記事は『致知』2005年3月号を一部、抜粋したものです)

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 稲盛和夫(いなもり・かずお)

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昭和7年鹿児島県生まれ。鹿児島大学工学部卒業。34年京都セラミック(現・京セラ)を設立。社長、会長を経て、平成9年より名誉会長。昭和59年には第二電電(現・KDDI)を設立、会長に就任、平成13年より最高顧問。22年には日本航空会長に就任し、27年より名誉顧問。昭和59年に稲盛財団を設立し、「京都賞」を創設。毎年、人類社会の進歩発展に功績のあった方々を顕彰している。また、若手経営者のための経営塾「盛和塾」の塾長として、後進の育成に心血を注ぐ。著書に『人生と経営』『「成功」と「失敗」の法則』『成功の要諦』(いずれも致知出版社)など。

【私も『致知』を推薦します】

稲盛和夫 氏

京セラ名誉会長・日本航空名誉顧問

日本人の精神的拠り所として、長きにわたり多大な役割を果たしてこられたことに、心から敬意を表します。『致知』は、創刊以来、人間の善き心、美しき心をテーマとする編集方針を貫いてこられました。近年、その真摯な姿勢に共鳴する読者が次第に増えてきたとお聞きしています。それは、私が取り組んでまいりました日本航空の再生にも似て、まさに心の面からの社会変革といえようかと思います。今後もぜひ良書の刊行を通じ、人々の良心に火を灯し、社会の健全な発展に資するという、出版界の王道を歩み続けていただきますよう祈念申し上げます。

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