「人格」はどうやってできるのか? 稲盛和夫が語った人生の羅針盤のつくり方

京セラやKDDIを創業し、それぞれ大企業に育て上げ、経営破綻したJALを僅か2年8か月で再上場へと導いた稲盛和夫さん。月刊『致知』2005年3月号のコラムでは、経営を通して体得した正道を歩む人間、逆に道を誤ってしまう人間の差はどこにあるのか、“人格の方程式”に当てはめて平易に説き明かされています。

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人格は「●●+●●」の足し算

〈稲盛〉
世間には高い能力を備えながら、心が伴わないために道を誤る人が少なくありません。

私が身を置く経営の世界にあっても、自分さえ儲かればいいという自己中心の考えから、不祥事を引き起こし、没落を遂げていく人がいます。

いずれも経営の才に富んだ人たちの行為で、なぜと首をひねりたくもなりますが、古来「才子、才に倒れる」といわれるとおり、才覚にあふれた人はついそれを過信して、あらぬ方向へと進みがちなものです。

そういう人は、たとえその才を活かし一度は成功しても、才覚だけに頼ることで失敗への道を歩むことになります。

才覚が人並みはずれたものであればあるほど、それを正しい方向に導く羅針盤が必要となります。

その指針となるものが、理念や思想であり、また哲学なのです。そういった哲学が不足し、人格が未熟であれば、いくら才に恵まれていても、せっかくの高い能力を正しい方向に活かしていくことができず、道を誤ってしまいます。

これは企業リーダーに限ったことでなく、私たちの人生にも共通していえることです。

この人格というものは

「性格+哲学」

という式で表せると、私は考えています。

人間が生まれながらにもっている性格と、その後の人生を歩む過程で学び身につけていく哲学の両方から、人格というものは成り立っている。

つまり、性格という先天性のものに哲学という後天性のものをつけ加えていくことにより、私たちの人格は陶冶されていくわけです。

言い換えれば、哲学という根っこをしっかりと張らなければ、人格という木の幹を太く、まっすぐに成長させることはできないのです。


(本記事は『致知』2005年3月号 特集「」の一部を抜粋・編集したものです


◎2021年4月号 特集「稲盛和夫に学ぶ人間学」は、おかげさまで大反響をいただきました。稲盛和夫氏による12ページに及ぶ秘蔵講話をはじめ、永守重信氏(日本電産会長)、野中郁次郎氏(一橋大学名誉教授)、山中伸弥氏(京都大学iPS細胞研究財団理事長)、長渕剛氏(シンガー・ソングライター)をはじめ稲盛氏に縁ある方々の感動的な実話、証言が満載です。【バックナンバー詳細はこちら
【著者紹介】 
稲盛和夫(いなもり・かずお)
昭和7年鹿児島県生まれ。鹿児島大学工学部卒業。34年京都セラミック(現・京セラ)を設立。社長、会長を経て、平成9年より名誉会長。昭和59年には第二電電(現・KDDI)を設立、会長に就任、平成13年より最高顧問。22年には日本航空会長に就任し、27年より名誉顧問。昭和59年に稲盛財団を設立し、「京都賞」を創設。毎年、人類社会の進歩発展に功績のあった方々を顕彰している。また、若手経営者のための経営塾「盛和塾」の塾長として、後進の育成に心血を注ぐ。著書に『人生と経営』『「成功」と「失敗」の法則』『成功の要諦』(いずれも致知出版社)など。

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