ユニクロの挑戦――柳井正が17年前に語ったこと(後編)

リーダーシップ

家業の紳士服店を世界的なカジュアル衣料品企業に育て上げたファーストリテイリング社長の柳井正さん。いまや売上は1兆8600億円に達し、アパレルで世界第3位の企業へと躍進を遂げています。今回ご紹介するのは、いまから17年前、柳井さんが52歳の時に『致知』に初登場された2001年の貴重な記事です(後編)。

独立自尊の商売人になれ

僕が社員に要求することは、自分で自分のサイクルを回せということです。

商売がおもしろいのは、自分で計画して、自分で実行して反省し、この次はもっとこういうふうにうまくやろうと自分でサイクルを回すことができるからです。それを人によって回されたり、人の指示でやったら、これほどおもしろくないものはないんです。

うちの社員には「独立自尊の商売人になれ」と言っているんです。

自分を尊敬しようと思ったら、自分で自分をコントロールできるようでないと、自分を尊敬できません。僕は日本を駄目にした元凶は、やはりサラリーマン社会じゃないかと思うんです。それも大会社の安定サラリーマン。いまこそ昔の自営業者の精神に戻るべきです。松下幸之助さんも言っているでしょう。社員稼業をするように、と。

社員稼業を追求するような世の中になったのに、昔の延長線上でサラリーマンの意識でやっているからうまくいかないんです。ほとんどの人がそうだし、個人で抱えている問題も、会社で抱えている問題も、日本の国で抱えている問題も、僕は全部一緒だと思いますね。

業界の常識を信じるな

僕は日本が駄目になりつつあるもう一つの原因は、老化だと思うんです。年を取ると、どうしても安定志向になります。人間ですから、仕方のないことなんですが、企業にとって安定志向というのは一番危険なことだと思うんです。

若いと、これからどうやって生きていこうかといろいろ考えますよね。仕事に関しても自分なりに工夫して、過去の人とは違ったことをやろうと考えます。マンネリになったら、もうお終いです。

みんな古い常識にとらわれ過ぎているんですね。業界の常識的なことはあまり信じないほうがいい。

よく考えたら、カジュアルというのは、昔でいえば作業着とかユニフォームだったんですね。何歳用の作業着とか、年配の人には向かないユニフォームというものがないように、カジュアルなら人それぞれ自分なりの感覚で着こなせばいいんじゃないかと思うんです。だから、ユニクロはいつでも、どこでも、だれでも着られるカジュアルを、あらゆる世代の男女に向けて販売しているんです。

 

(本記事は『致知』2001年8月号特集「一国は一人を以て興り、一人を以て亡ぶ」より一部抜粋したものです)

 

柳井正(やない・ただし)

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昭和24年山口県生まれ。早稲田大学卒。46年早稲田大学卒業後、ジャスコ入社。47年ジャスコ退社後、父親の経営する小郡商事に入社。59年カジュアルウエアの小売店「ユニクロ」第1号店を出店。同年社長就任。平成3年ファーストリテイリングに社名変更。11年東証1部上場。14年代表取締役会長兼最高経営責任者に就任。いったん社長を退くも17年再び社長復帰。著書に『成功は一日で捨て去れ』『一勝九敗』(ともに新潮文庫)『柳井正 わがドラッカー流経営論』(日本放送出版協会)などがある。

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