プレーは熱く! 熱く! But 頭はクールね!

モスフードサービス社長・中村栄輔さんが
モスバーガーに出合ったのは浪人生活の途中でした。
初めて食べたモスバーガーのおいしさに感動したことが、
この仕事に携わるようになったきっかけだといいます。

ここでは、中村さんの若き日の仕事ぶりを
伝えるお話の一コマをご紹介します。



中村 栄輔(モスフードサービス社長)
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※『致知』2018年3月号【最新号】
※連載「私の座右銘」P100

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入社してからは法務部門に配属され、賃貸契約書のチェックや、
加盟店とのフランチャイズ契約の書類作成などに一所懸命取り組み、
三十三歳で課長にしていただきました。
課長になると、管理職しか出席しない会議の場で、
当時の社長で創業者の櫻田慧に接する機会に恵まれるようになりました。

その時に創業者から、「アントレプレナーシップ(起業家精神)を持って仕事をしてほしい」と言われたのですが、
私にはその意味が理解できませんでした。
そこで「管理職になったのに、社長がおっしゃった経営用語すら分からないレベルでよいのだろうか」と奮起した私は、
経営大学院の夜間に入り、ボーナスをすべてつぎ込んで勉強に打ち込みました。
 
大学院を修了する年に偶然、社長室長へと異動になりました。
しかし、これから創業者の傍らで仕事ができると意気込んでいた矢先に、創業者が急逝してしまったのです。
 
入社以来、創業者とは様々な場面で接点があり、数多くの得難い経験をさせていただきました。
創業者は常々「嘘をつくな」「約束を守れ」「人を裏切るな」などと言っていましたが、
私はいまその言葉を「正直に話そう」「約束を守ろう」「信頼に応えよう」
といった言葉にして社員たちに日々伝えています。

やはり、企業は最終的には「人」です。
創業者の精神を社員一人ひとりがしっかり受け継いでいるからこそ、
企業はお客様の信頼に応え続けられるのだと思います。
 
その後は、開発本部長や第四営業本部長を務めました。
開発本部長の時には、いまの働き方改革にも繋がる業務プロセスを洗い直す作業に取り組み、
営業本部長の時には、「店長経験がない営業本部長で大丈夫?」と言われながらも、加盟店の意見を取り入れ、
「チキン南蛮バーガー」や「霧島黒豚メンチカツバーガー」などを開発、
九州地区など地域限定商品としてヒットさせることができました。
 
そのような私の仕事への姿勢をことある毎に支えてくれたのが、「熱い心と冷静な頭」という言葉です。
私は高校時代にサッカー部に所属していたのですが、
その時のコーチがアイルランド人のカトリック神父さんで、
「栄輔、プレーは熱く! 熱く! But 頭はクールね!」と言って指導してくださっていたのです。
 
以来、私は熱い思いで行動しながら、
一方では冷静に現実を見極めるというバランスを大事にして人生を歩んできたのでした。
創業者も常々、仕事をする上では「心+科学」が大事だとおっしゃっていましたが、
これはまさに「熱い心と冷静な頭」の言葉にも通じるように思います。

ただ、「心+科学」というと、「心」の比重が重く、「科学」はつけ足しのように軽く見られがちです。
ですから、私は社員たちに「心の大きさはしっかりと維持しながら、
科学のほうも大きくしてバランスを取りましょう」と伝えています。

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