シンクロ井村コーチが教える3つの叱るコツ+α/まだ間違った叱り方をしていませんか?

リオ五輪でシンクロ日本代表ヘッドコーチに復帰。デュエット、団体ともに見事復活の銅メダルをもたらした井村雅代さん。これまで9度のオリンピックで選手たちを率い、1度たりともメダルを逃したことはなく、「メダル請負人」「シンクロ界の名伯楽」の異名を取る。その指導法は巷に流布する〝鬼コーチ〟という言葉だけでは表現しきれない。井村さんは前回の五輪でメダルなしに終わった日本の選手たちをいかに鍛え上げたのか。その指導法とリーダーの心得について迫った。

人を育てる秘訣

――五輪で合計13個ものメダルを獲得してこられましたが、人を育てる秘訣は何ですか。

井村 試合が終わった時に、やっぱりこの先生についてきてよかったと言わせたい。いつもそう思いながら指導しています。

この頃は特に、この子たちの人生の大切なひと時を預かっているんだと強く思うようになりました。自分の導き方一つで全く違う人生を辿ることになる。だから一人ひとりの人生を大事にすること。それは特に心掛けています。

ですから日々の練習では、一つでもいいから絶対に上手にして帰らせようという思いで指導するんです。しんどいだけで終わらせてはいけない。何か一つでも進化した自分を体験させてやろうと。

3つの叱るコツ

――選手を叱る際に心掛けておられることはありますか。

井村 叱る裏には責任があります。それはしっかり自覚しなければいけません。 私もできることなら褒めて勝たせたいですよ。でも残念ながら難しい。

褒めたらその子は、これくらいでいいんだって思い込んでしまうんです。NGを出して、もっともっとってさらに上を求めるのは、その子の可能性を信じているからなんです。この子たち一人ひとりにものすごい可能性がある。私はそう信じているんですよ。

もちろん、たまには褒めたいって思うこともありますよ。それでリオ五輪の時、決勝前の練習でちょっと褒めたらデレデレ緩んできたんです。これはあかん! と思ってまた叱りましたけど、最後までそんなことを繰り返していましたね。

やっぱり人というのは、追い込まれて追い込まれて、もっともっとって求められるところから、本当の力って出るんじゃないでしょうかね。

――叱るのも簡単ではありませんが、何かコツはありますか。

井村 叱るコツは3つあると私は考えます。1つは現行犯で叱ること。2つ目が直す方法を教えること。3つ目がそれでOKかNGかをハッキリ伝えることです。そこまでやらないなら叱ってはダメ。それは無責任です。

――選手には嫌われても構わないともおっしゃっていますね。

井村 全然構わない。だから余計に、すべてが終わった後に「この先生についてきてよかった」って言わせたいんです。だってその選手を指導するっていうのは、これ運命的な出会いですよね。だからなおさら「この人に教えてもらってよかった」と言わせたいんです。

(本記事は『致知』2016年12月号に掲載された井村雅代さんのインタビュー「本気で向き合えば可能性は開ける」を一部、抜粋したものです。全文は本誌をご覧ください)

◇井村雅代(いむら・まさよ)
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大阪府生まれ。中学時代よりシンクロナイズドスイミングを始める。選手時代は日本選手権で2度優勝し、ミュンヘン五輪の公開演技に出場。天理大学卒業後、大阪市内で教諭を務める傍ら、シンクロの指導にも従事。昭和53年日本代表コーチに就任。平成18年より中国、イギリスの指導を経て、26年日本代表ヘッドコーチに復帰。リオ五輪ではデュエット、団体とも銅メダルを獲得。五輪でのメダル獲得数は通算13個となる。著書に『あなたが変わるまで、わたしはあきらめない』(光文社知恵の森文庫)『井村雅代コーチの結果を出す力』(PHP研究所)など。

井村雅代さんも月刊『致知』を愛読しています
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『致知』と出合ったのは16年前、プロ野球の村田兆治さんと対談をさせていただいた時から愛読しています。最近の若者は本を読むことを嫌う人が多いのですが、『致知』は若者こそ読むべきだと思います。誌面に登場される方々の生き様、考え方を自分の中でシェイクして、自分に必要なものを心に刻んでいく。ぜひそういう読み方をしてもらいたいと思います。

 

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