追悼 渡部昇一先生追悼 渡部昇一先生
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下村博文氏(衆議院議員)

卓越した見識の人を惜しむ

下村博文氏(衆議院議員

渡部昇一先生の御霊に対し、心から哀悼の意を捧げます。
渡部昇一先生は英文学から始まり、政治経済、歴史、哲学など幅広い評論活動をされた稀代の碩学であり、膨大な著書を著した知の巨人でした。

渡部先生は、日本の保守の識者であり、日頃から尊敬申し上げておりましたが、特に私にとって、『致知』との接点において二つの縁がありました。

一つ目は、私が会長をしている国会木鶏クラブ(国会議員会員約八十名加盟)に講師としてご参加頂いたことがありました。その時に渡部先生は、「民主主義には横の民主主義と縦の民主主義がある」と発言されました。横の民主主義とは同時代におけるまさに民主主義であり、縦の民主主義とは、社会は我々生きている者だけではなく、過去の営々たる先人たちの営みの足跡であるし、また未来は私たちの子や孫たち子孫のものでもある。

つまり社会は今生きている私たちの判断で物事を決めるのではなく、遠い祖先からの歴史や未来に向けた先見力も併せ持つ改革を進めなければならない。このことが渡部先生の仰られた縦の民主主義であると我々国会議員も改めて得心したところです。

また二つ目は、致知出版社で主催をしている渡部昇一塾での縁です。私は講師として参加したことがあります。色々なところで講演をする機会はありますが、私にとって、渡部昇一塾で講演するということは、大変な名誉であり、誇りに思う出来事でした。それだけ渡部昇一先生には大いなる敬意を持っていたということであります。

戦後、長い間知識人として、日本のあるべき形を卓越した見識によって、引っ張ってこられた渡部昇一先生がお亡くなりになられたということは、いまだに大きな喪失感の底にありますが、心より重ねてご冥福をお祈りいたします。

渡部昇一先生 ありがとうございました。


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