齋藤 孝・監修/定価=1,200円+税
『婦人公論』『女性自身』、毎日新聞、夕刊フジ……などなど、各メディアでも大反響の「速音読」シリーズに、小学生版が登場!NHK Eテレ『にほんごであそぼ』の総合指導を務める齋藤先生が選び抜いた名作・名歌・名詩などのテキストをもとに、子どもたちの国語力や語彙力がグングンUPします。
親子でタイムを競うのもよし、ワイワイ楽しみながら賢い子が育つ、脳トレ&音読テキストブックです。
速音読ドリル、楽しんでいます。
小学1年生の娘は『坊っちゃん』がお気に入りで、自分で棚からドリルを取り出し、古いスマホのストップウォッチ機能を使って時間を計り、ママ見てて!と読みます。
初めは2分38秒かかっていたのに、まもなく1分15秒にまでなり、昨夜、ついに55秒になりました!
ママ、さら(娘)、おとうさん、おかあさん(祖母)とそれぞれのタイムに名前を書いています。
私としては速さよりも、難しい言葉にもかかわらず途中で止めずに、最後まで一生懸命読み切るところを褒めています。
不思議なもので、国語の教科書を音読する宿題は、毎晩親に言われてしぶしぶ1回か、多くて3回しか読まないのに、このドリルは自分から読みます。宿題の方が短くて言葉も簡単で読みやすいのにです。スピードを競うのがおもしろいようです。
「国語力向上の最大の秘訣は、早い時期によい日本語に出逢うこと」という齋藤先生。名作『ごん狐』や、中学2年の教科書にも載っている『走れメロス』などに早く触れることが、子どもたちの能力開発を促します。
すべての項目で「見開き1分」の制限時間を設けています。漫然と流し読みするのではなく、1分という制約の中でできるだけ速く、そして正しく読み通す。だから、ゲーム感覚で楽しく学ぶことができます。
『論語』や『枕草子』『源氏物語』など、人間としての骨格をつくる古典の名文も収録。
一度読んだだけでは分かりにくい骨太な文章も、
タイマー片手に何度も音読することで、確実に身体に染み込みます。
速音読を行うと、「頭がスッキリした」「気持ちよかった」という声がよく聞かれます。
音読を速く行うと脳が活性化することは、脳科学でも実証されています。
厳選された40の項目それぞれに、
読了タイム記入欄を10枠ずつ用意。
最初はうまく読めなくても、
自分がだんだんと速くなっていくことを実感できることでしょう。
最近の小学生には、朝食を食べずに学校へ行ったり、寝不足のまま登校して、朝からボーッとしたやる気のない表情をしている子が多いといいます。
どうにか子どもたちが、朝から元気でいられる方法はないものか?
そんな時、「速音読」を使って学級づくりを行い、子どもたちに活力を与えている先生が横浜におられると伺いました。その小学校の先生は、「速音読」を実践することで、クラスに活気と一体感が生まれ、集中力や学習意欲を引き出せるのだといいます。
であれば、毎朝1分、家庭で「速音読」をすることにより、なかなかエンジンが掛からない子どもたちの頭をすっきり目覚めさせ、よい一日のスタートを切れるかもしれない——。速音読ドリルがひらめいた瞬間でした。
音読や速音読が人間の脳にもたらす大きな効果について、脳トレの第一人者・川島隆太先生が実証データを基にコメントされています。
「これまで素読が脳の機能を高める実証データをたくさん取ってきましたが、そこで分かったことの一つはできるだけ速く読むトレーニングの効果です。速く読むことで頭の回転速度が上がります。例えば、早口言葉のようなものを毎日やっていると、脳がつくり替えられるということが見えてきたんです」
「頭の回転速度と記憶の容量は、二十歳を過ぎると遅くなり、小さくなります。ですから、素読を速くやることは脳の機能の低下を食い止めるし、子供たちの場合は、発達期に脳の器が大きくなるわけです」
「速音読は決して文学の味わいを損なうものではありません。速く正確に流れよく読むために、頭は必死に内容をつかもうとします。次はどうなるのだろう、次の文章はどういうイントネーションになるのだろうと、脳 がフル回転するのです」
「速音読のトレーニングを積んでいくと、スムーズに文章が読めるようになります。
その結果、テキパキと話せるようになりますし、一時間の速音読でも日本語力が驚くほど上達していきます。私は小学生たちに速音読を教えていて、その前後で子どもたちの能力が飛躍的にアップするのを何度も見ています」齋藤孝(さいとう・たかし)
昭和35年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学教育学研究科博士課程を経て、現在明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション技法。
著書に『子どもと声に出して読みたい「実語教」』『親子で読もう「実語教」』『子どもと声に出して読みたい「童子教」』『日本人の闘い方』『渋沢栄一とフランクリン』(いずれも致知出版社)など多数。