現代語訳・荒井桂/2,800円+税/四六判上製
天才儒学者・山鹿素行による幻の名著『中朝事実』。
1669年(寛文9)年に著された書物が長い時を経て、現代に甦った。
江戸初期、中国の思想に溺れていた日本人に警鐘を鳴らし、自国の歴史研究を通じて日本精神とは何かを改めて素行はこう国民に訴えた。
「日本こそが真の中朝(中華)であり、世界に冠たる君主国である」――と。
やまがそこう——元和8(1622)〜貞享2(1685)年。会津若松に生まれ、8歳までに四書五経などをほぼ読み終える早熟の天才だった。武士道を体系づけた重要な人物であり、経世済民の道と皇室中心主義を説いた大学者。
伊藤仁斎、荻生徂徠、本居宣長、吉田松陰、藤田東湖、乃木希典……
今日、激動・激変の国際情勢の中で、国の在り方や国民の意識に思いを致すとき、この『中朝事実』を改めて紐解いてみることは、極めて意義深いことであろう。(本書「はじめに」より)
乃木希典大将は殉死する2日前、11歳で皇太子となられた裕仁親王(後の昭和天皇)を訪ね、2冊の本を風呂敷から取り出して手渡した。そのうちの1冊が『中朝事実』で、重要な部分には赤線が引かれ、説明が添えられていた。
■ 2013年12月号
■ 2014年12月号