昨年テレビ・新聞等でも話題になった『女子の武士道』の著者、待望の最新刊。 武士の娘だった祖母から教わった人生訓を主とした前著に対し、気品ある女性になるための心得を綴った本書はその実践編とも言えるでしょう。
表情・姿勢・挙措、素行、品位のたしなみから、お茶の出し方、返事の仕方に至るまで示唆は多岐にわたりますが、「泣いてすませるのは卑怯者の振る舞い」「人生をどう受け止めてるのか、歩き方を見ればわかるんだよ」など、鋭く含蓄ある祖母の言葉には、思わず襟を正される思いがします。 明治期の外国人による記録も随所で紹介され、世界が憧れた当時の日本女性の姿は、現代人の範ともなるでしょう。
なお、教養を「たしなみ」と読ませているのは森信三師の教えによるもの。 たしなみとは人柄や人格に融け込んで生きているもので、日常で実践してこそ意味があると強調しています。
お子様やお孫様の躾にもぜひ役立てていただきたい一冊です。
「どんなつもりで生きているか、姿勢を見ればわかります」
「どんなに悲しくたって、人前で泣いてはいけないよ。女の子なんだから」
「ありがとうを言う時は真心が大事だよ」
「ものを大事にしないのは、自分を大事にしていないのとおんなじだよ」
明治22年に生まれた著者の祖母は、厳格な武家の娘としての躾を受けました。著者は明治大正昭和の時代をたくましく生きた祖母と12歳までともに暮らしましたが、後年、祖母の生き方、その言葉を思い出すにつけ、戦後日本人の女性が忘れてしまった「人としての心得」「女性としてのあり方」が散りばめられていることを知ります。
それこそが武家の女性の矜持そのもの、つまり "女子の武士道" だったと気づいたのでした。本書は55の祖母の言葉を挙げながら、女性とは、妻とは、夫婦とはどうあるべきかを語っていきます。
「女子の」とタイトルにありますが、凛とした女性がいてこそ立派な男、家庭、そして社会があることを納得していただけることでしょう。
さらに言えば、女性から見て男子はこうあるべきだと暗に諭される、男子にもまた必読の一冊です。
石川 真理子(いしかわ・まりこ)――昭和41年東京都生まれ。
12歳まで米沢藩士の末裔である祖母中心の家で、厳しくも愛情豊かに育つ。文化女子大学(現・文化学園大学)卒業。
編集プロダクション勤務を経て結婚後はライターとして活動。
著書に『女子の武士道』(致知出版社)『いまも生きる「武士道」』(講談社+α新書)『明治女が教えてくれたプライドのある生き方』(講談社)『新島八重 武家の女はまつげを濡らさない』(PHP研究所)などがある。