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鍵山秀三郎氏 「経営と人生 問答塾」

鍵山秀三郎  イエローハット相談役
「会社を永続させる心得」(2007年8月 当社主催「経営と人生 問答塾」)

鍵山秀三郎

鍵山秀三郎  イエローハット相談役
「会社を永続させる心得」(2007年8月 当社主催「経営と人生 問答塾」)
私の仕事観
私は73年の人生の中でいろいろな困難に遭いながら、たどたどしく歩んでまいりました。
しかしだからこそ私は多くの体験ができたわけで、物事が順調に来ていれば、私はこれという体験もせずに終わってしまったと思うのです。何度も会社が潰れそうになり、それを盛り返し、また少し光明が見えたかと思うと前よりもっとひどい目に遭うということを繰り返してまいりました。私の社会人生、企業人生は、おそらく人様より多くの経験をしてきたと思います。私の乏しい頭であっても深刻に深く考えることができたのは、そのおかげだと思うのです。もし私のような人間が何の困難にも遭わず順調に来ていたら、世の中を甘く見て、そして深く考えることもせずに、人生の終着に近づいてしまったと思います。けれども、ありがたいことに私は順調に来たということがなかったのです。だから年中、緊張して考えて、考えて、やってまいりました。今になりますと、ああこれで良かったと思いますけれど、やはり若い頃はなぜ自分だけがこんな目に遭うのかと、人はもっと楽に上手くやっているのに、なぜ私だけこんな目に遭うのかと思いました。しかし今になりますと、そういうことがあったから真剣になれた、いい加減なことをせずに済んだと思っています。

会社を存続させる心得

会社を長続きさせるにはどうしたら良いかということですが、これには秘訣はないです。
決して楽で簡単な道はありません。こうすればいいですよというものもありません。ただ
経営者は、人から感心される程度のことをやっていてはだめで、感動される人間になるくらいのことをやらなければ上に立つ人はだめだと思います。では感動される人間になるにはどうしたら良いか。これは実に簡単であり、しかし、やるのは難しいことです。自分にとって割に合わないことを進んで引き受けて、次から次へと、これでもか、これでもかと割に合わないことをやり遂げていく。その時に初めて人は「よくあんなことをやったなあ」と感動してくださるわけです。割に合わないことを進んで、笑顔で引き受けていく。しかも一度や二度ではいけません。いつも絶えず、これをやり続けた時に初めて人は感動する。こういうものだと思うのです。

未来の種をまく

割に合わないことは、じつは素晴らしいことです。割に合わないことほど、将来の良いことの種まきであるというのが私の実感です。逆に割合わないことを嫌って避けて自分にとって都合の良いことばかりを選んでやっていくと、その時は確かに要領良く上手くいったような気がします。しかし長い目で見ますと先にいって良いことが起きない、逆にマイナスの事が次々と起きてくるということだと思います。いま企業の不祥事が多いですが、そういう会社の共通点は何かと考えると、かつて割に合わないことを一つも引き受けて来なかった、そして本来やるべきことまで怠っている。そして要領よく上手く立ち回ってきた。その結果が現れてきたものだと思います。割に合わないことは将来良いことが起きることの種まきです。その種まきを多くした会社が長続きするということを断言したいと思います。
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【経営問答】(質疑応答)
質問者 Y. K 様  保育園経営 (栃木県)
 Q この業界では、年々、国の補助金が減ってきているのが現状です。
より良い保育をするために職員の質を向上させるにはどうしたら良いでしょうか。
  3~4年で結婚退職してしまう職員が多い中、定着率を良くするためのアドバイスを 
  お願いします。

 A.年々国家からの補助金が減っていくのは国情からしても仕方のないことです。しかし与えられた条件の中で生きていくことを真剣に考えていくことが大事です。厳しいことを先取りしていくという考え方を根底に持つと、そこに自ずから知恵というものが
  湧いてきます。
  
「質」にもいろいろあります。上がっているものもあります。例えば知識、ハイテクに対する対応力、上がっているものはたくさんあるのです。
しかし、今の人たちの質で何が一番低下いるかというと、生活感覚です。
人間が家庭、社会、組織のなかで生きていく上で必要最低限求められる常識というものが年々、薄れ欠如しています。生活感覚とは人との関係を円滑にしていく、雰囲気良く過ごすことができる生活の知恵です。これが欠けてしまうとどんな才能があっても、質全体が低下していると見られてしまいます。しかしそうではありません。むしろ向上している資質のほうがたくさんあります。欠けている生活感覚を補ってあげるのが職場の管理者、上司の使命であると思っています。
この職場、職務を通して、人間として欠かすことの出来ない大事な生活感覚を身に付けて養って、そして幸せな人生になってくださいということを折に触れて何度も何度も諦めないで伝え続けてください。それが経営者の使命ではないかと思います。

幼稚園、保育園は強みがあると思います。自分の子供を保育しながら働いてもらえるという強みがあります。安心して自分の子供を目の届くところに置いておけるという
恵まれた状況を備えています。恵まれたことに目が行かないで、マイナスのところに
目が行ってしまわないように、眼を正してみることが大事です。
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【経営問答】(質疑応答)
質問者 T.K 様  自動車教習所 (東京都)
Q.値下げ競争の中で、我が社の役割は業界全体の底上げをすることだと考えています。
 また、今後は自動車に関する全てのサービスをお客様に提供できる企業になることを
 目指しています。
 事業拡大と業界の底上げのために、必要なこと、注意点などを教えてください。

A.規模を大きくしようとしなくても、質さえ高ければ、同業他社が救済を求めて来るのではないかと考えられます。質を高めることが、自然に量の確保につながっていくと
 私は思います。質を高めるとは、設備にお金を掛けたり、近代化したり車を良くすることではありません。教習所の指導員の質を高めること、人格を高めることです。
 人格の高い人は、同じ言葉を発しても相手に与える印象が違います。受講者が車のところに来た時の指導員の方々の迎え方、表情、眼差し、ほんのちょっとした言葉を受講者は敏感に感じ取るのです。そしてそれが良いとなると卒業した時にいかに多くの人にそれを伝えてくれるか。指導員の僅かな差を高めるための努力を全員でしていっていただきたいと思います。
 それから、年配者が一念発起して教習所へ通ったら、自分の子供みたいな人にぞんざいに扱われて断念してしまったという人が世の中にいっぱいいます。毎年18歳になる人は年々減っていても、条件さえ整えば自分で車を運転したいと思っている人が世の中にはたくさんいるのです。そこにまた新しい需要が生まれてくるのではないかと思います。運転の技術だけでなく作法、心構えを中心にした授業もしていただきたいです。これが、業界を引っ張る者の使命だというふうに考えていただきたいですね。


鍵山秀三郎  イエローハット相談役




鍵山秀三郎
【プロフィール】
鍵山秀三郎(かぎやまひでざぶろう)
かぎやま・ひでさぶろう 昭和8年東京都生まれ。27年疎開先の岐阜県立東濃高校卒業。28年デトロイト商会入社。36年ローヤルを創業し社長に就任。平成9年社名をイエローハットに変更。10年同社相談役となる。創業以来続けている掃除に多くの人が共鳴し、近年は掃除運動が内外に広がっている。「日本を美しくする会」相談役。著書に『凡事徹底』『鍵山秀三郎語録』『小さな実践の一歩から』『日々これ掃除』『掃除に学んだ人生の法則』『あとからくる君たちへ伝えたいこと』(いずれも致知出版社刊)がある。



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