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国を守る戦いに向けて(渡部昇一先生からの緊急提言)

(2010年07月09日)

『致知』で「歴史の教訓」を連載中の渡部昇一先生より、
参院選に対するメッセージをいただきました。
ぜひお読みください。

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【国家解体でいいのか】

【菅首相への質問状】

参院選の焦点は消費税問題に移り、肝心の問題が陰に隠れてしまった感がある。
外国人地方参政権付与、夫婦親子別姓、そして人権の問題である。
これを論点の中心にして選挙戦が戦われていないことは残念である。
だが、今後の日本を考えれば、参院選ではこれらの問題が
もっとも重要な論点であることに依然として変わりはない、
と私は思っている。

こんな中、6月28日付産経新聞の「正論」で
佐々淳行さんが菅首相について論じておられた。
いかにも佐々さんらしい歯切れのいい議論展開である。
東工大の学生運動指導者時代からの菅直人氏を知る佐々さんは、
首相になった途端、駐留米軍は抑止力として重要、
普天間基地問題は日米合意を尊重、といった具合に
現実路線に軌道修正したかのような菅首相の変貌ぶりを捕らえ、
これがオタマジャクシが蛙になるような変容なのか、
それともカメレオンが色を変えるような一時的な変化なのかを見定めたいとしている。
そして、それを見定めるために、三つの質問を投げかける。
この質問は私もまったく同感で、ぜひ菅首相の答えを聞きたいと思う。
その質問はこうである。

①当時副総理だった菅氏は、訪米した折にワシントンのアーリントン墓地に
花輪を捧げて参拝、アメリカのために命を捧げた兵士たちを慰霊した。
日本には靖国神社がある。日本のために命を捧げた兵士たちを慰霊するために、
代理ではなく本人が参拝するのか。

②第2次安保闘争で警察官10有余名が死亡、
約12,000人が負傷、その後遺症で悲惨な後半生を送る人たちもいる。
全共闘世代の代表として殉職警察官慰霊祭に参列するか。

③中国は尖閣諸島の領有を宣言、実効支配しようとしている。
「中国と協議」「アメリカに聞いてみる」の鳩山外交を踏襲するのか、
それとも主権侵害に毅然と対抗するのか。

【国と国民をなくす民主党】

佐々さんは変容か一時的な変化かを見定めると粘り強いが、
私は菅首相の底は見えていると思う。
菅首相は自分の政治理念の原点として
松下圭一と永井陽之助の二人の政治学者を挙げている。
この二人が原点というのは、菅首相の政治思想のあり方を偽りなく示している。

松下圭一はひと言で言うなら国家解体論者である。
「国」と「国民」をなくし、「地方」と「市民」に移行させることを政治の理想とした。

また永井陽之助は「吉田ドクトリン」を規定し、評価した。
吉田ドクトリンとは吉田茂が行った政治の理念で、
軍備に金をかけず経済に力を注ぐ、というものである。
吉田は朝鮮戦争に際し米国の再軍備要請を断り、
警察予備隊でお茶を濁し、もっぱら経済復興に集中した。
永井陽之助はこの政治を吉田ドクトリンとして評価したのだが、
これをドクトリンと呼ぶのは曲解のいいところで吉田に対して失礼である。

吉田茂は経済さえ発展すれば軍備はどうでもいいなどとは考えていなかった。
ただ当時、国民は食うや食わずの状態だった。
それに対応して、吉田茂はまず経済を復興し、しかるのちに軍備を、と考えていたのだ。
その発言も残されている。軍備よりも何よりもまず経済というのは、
吉田政治のプロセスに過ぎない。
いずれにしろ、いまになってみれば松下理論にしろ永井理論にしろ
空理空論中の空理空論であることは、誰の目にも明らかだろう。

しかし、これが菅首相の政治理念の原点だというのである。
事実、それは民主党の主張に現れている。
民主党は最近、地方分権を通り越して「地方主権」などと言い出している。
国の主権はどこにあるのか。
主権が主権者である国民の総意として国家のみにあることは、
憲法でも定めているところである。「地方主権」は憲法違反なのだ。
それをあえて「地方主権」という。国を地方に移行し、
国民を市民に移行する松下理論そのままの国家解体論の現れである。
それを具体化するのが外国人地方参政権付与である。
これが実現したら、地方はたちまち外国人に乗っ取られてしまうだろう。
まさに国家解体の一里塚である。これでいいのか。

さらに夫婦親子別姓である。
戦後の民法改正で日本の伝統的家族制度は解体され、核家族化された。
そして今度は、夫婦親子のつながりも断とうというのである。
戸籍もなくしたいらしい。
これは究極の家族崩壊、国家の文化の根底からの解体に他ならない。
これでいいのか。

さらに人権問題である。
いま日本で、誰が誰の人権を侵しているのか。
犯罪者が普通人の人権を侵している。
ならば、治安体制の強化こそが大切なはずである。
だが、それにはむしろ反対で、ただただ人権の擁護、尊重を叫ぶ。
そこに見えるのは、やはり国家解体である。
これでいいのか。

いずれも菅首相の政治理念に結びついていることを知らなければならない。
国民にはこれらを真剣に考えて選択していただきたい。
私の参院選に対するメッセージである。 

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