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2010年11月号:特集
「人間を磨く」

2010年11月号INDEX : 編集長から | 目次 | ピックアップ記事 | 今月の名言

『致知』2010年11月号

八月三十日朝。新聞の一つの記事に目が釘付けになった。

衝撃が走り抜けた。全身の血がチリチリ凍りつくような思いがした。
悲しみがせき上げてきて文字が霞んだ。その記事を記す。

《台所の家庭用冷蔵庫。奥行き約30㌢の野菜室が小さな遺体のひつぎだった。
胎児のように足を抱え、冷たい箱の中で2年近くも眠っていた。
07年7月、兵庫県小野市。4歳の男児は、義父(35)に「お仕置き」と称して
身体より小さな衣装ケースに閉じ込められ、熱中症で死亡した。
口に靴下を詰められ、悲鳴を上げることすらできなかった》(原文のまま)

どんなにか恐ろしかったろう。どんなにか悲しかったろう。
原文を引き写していてもやりきれなさがこみ上げる。

冷蔵庫に入れようと提案したのは母親(35)だった。
遺体と「離れたくない」という思いが強かったのだ、と記事は伝える。

母親は親の勧めで結婚した前夫(37)とうまくいかず、
07年3月、出会い系サイトで知り合った相手の県営住宅に
子ども二人と転がり込んだ。
「子どもに優しくしてくれる」と思い選んだ夫は、
「これが教育」と殴り始め、やがて暴力が日常化する。
後に公判で、自らも虐待された生育歴があったことが判明した──

近年の異様な事件に出合うたびに思い出す言葉がある。
ある人に教わった「時間は音符」がそれである。
ベートーベンの「運命」の出だしの音符は決まっている。
だが同じ音符でも、カラヤン、フルトベングラー、小澤征爾と指揮者が変わると、
まったく異なって聞こえる。
時間もそれと同じで、同じ時間でも人によってもたらされる結果は
それぞれに異なる、ということである。

時間だけではない。場(環境)もまた音符なのではないだろうか。
同じような場にいても、そこで奏でるメロディは人によって違ったものになる。

※続きは本誌7ページで


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