2010年9月号:特集「人を育てる」
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「私はドイツの母親、ドイツの婦人の家庭的な伝統の中に、
我々の政治的未来に対する、我々の築くいかなる要塞にも増して、
確固たる保証をみる」
鉄の宰相といわれたドイツのビスマルクの言葉である。
どんなに堅固な要塞より、
母親が家庭でどういう教育をしているかがドイツの未来を保証する、
というのである。
ドイツに限ったことではない。
人格の土台を創るのは家庭である。
一家の習慣、教養、風儀が子どもの人格の核を創る。人を育てる原点である。
家庭で創られた人格の核を土台に人は社会に飛び出していく。
社会への雄飛を橋渡しするのが師と友である。
いかなる師と出会うか。
どんな友を得るか。
師友との切磋琢磨によって、人はさらなる成長を遂げていく。
人の生涯は、人を育て人に育てられる連鎖である。
中江藤樹は人を育てることに生涯を賭した人である。
中でも、生来の「愚魯鈍昧」といわれた大野了佐との逸話は忘れ難い。
藤樹の伊予大洲時代の友人、大野勝介の次男が了佐である。
了佐が藤樹の後を追って小川に来た時、藤樹三十一歳、了佐二十七歳。
僅か四歳の違いである。
どうしても医者になりたいという了佐。
藤樹は当時の医学入門書「医方大成論」を読むことから始める。
※続きは本誌7ページで










