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2010年8月号:特集「思いをこめる」

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『致知』2010年8月号


滴血骨、という言葉がある。「てきけっこつ」と読む。

王陽明の言葉である。師は自分の血を弟子の骨に注ぎ込む。
弟子もその血を骨に吸い込むように受け取る。心血を心骨に注ぐ。
教えの伝受はそういうものでなければならない、ということである。
思いを込める極致であろう。

師弟の間だけではない。
人が一つの業を成さんとする時も、である。
その業にわが血を注ぐように思いを込めることが不可欠である。

この人もまた、自分の業に滴血骨のように思いを込めた人である。

西山彌太郎。

明治二十六(一八九三)年生まれ。大正八年、東大の鉄冶金科を卒業し、
川崎造船(現・川崎重工業)に入社。製鋼技術者として勉励、目覚ましい業績を上げ、昭和二十五(一九五〇)年、川崎重工業から川崎製鉄を分離、独立させた。

この人に驚くのは、大学卒業論文に「神戸川崎造船所製鋼工場計画」を書き、
資金調達から生産技術、原料の選定、利潤までを計画設計していることである。
机上の空論ではない。現実をにらんでのビジョンを打ち立てていたところに、
この人の人格がうかがえる。

社長になった西山は、長年胸に温めていた計画を実行する。
千葉製鉄所の建設である。
これは二つの意味で革命的な大事業だった。

※続きは本誌7ページで

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