2009年5月号:特集「執念」<ご好評につき完売いたしました>
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青年は地方の大学を出、京都の会社に入った。就職難の時代。青年の喜びは大きかった。だが、それが色褪せるのにさして時間はかからなかった。会社は赤字続きで給料遅配も珍しくない。これに対して労働組合はひんぱんにストを繰り返している。
青年はうんざりした。同期の友人と語らい、自衛隊に入ることにした。その手続きのために戸籍抄本を送ってくれるよう、実家に頼んだ。だが戸籍抄本はこず、長兄の手紙だけが送られてきた。
「働くところもないお前を雇ってくれた会社になんの恩返しもせずに辞めるとは何事か」
長兄の叱責はズシンとこたえた。よし、この場こそ最高の場と思おう──青年は生活を一変させる。会社に布団から炊事道具まで持ち込み、寝る間も惜しんで仕事に没頭した。その努力は認められ、会社は数人の部下をつけてくれた。こうして開発された製品にある大手メーカーが注目、大量の注文が舞い込むようになった。
そんな時期、賃上げを要求して組合は全面ストに突入。工場にはピケが張られた。だが、青年は仲間と会社に泊り込み、仕事を続けた。作った製品は裏門の堀から手渡し、納品した。そんな青年の行為は全組合員から非難、罵倒された。青年は言った。
続きは本誌で……。








