2007年6月号:特集「切に生きる」【ご好評につき、完売しました!】
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ある時、弟子が師の道元に聞いた。
「人間は皆仏性を持って生まれていると教えられたが、仏性を持っているはずの人間になぜ成功する人としない人がいるのですか」
「教えてもよいが、一度自分でよく考えなさい」
道元の答えに弟子は一晩考えたが、よく分からない。
翌朝、弟子は師を訪ね、ふたたび聞いた。
「昨晩考えましたが、やはり分かりません。教えてください」
「それなら教えてやろう。成功する人は努力する。成功しない人は努力しない。その差だ」
弟子は、ああ、そうか、と大喜びした。だがその晩、疑問が湧いた。仏性を持っている人間に、どうして努力する人、しない人が出てくるのだろうか。翌日、弟子はまた師の前に出て聞いた。
「昨日は分かったつもりになって帰りましたが、仏性を有する人間に、どうして努力する人、しない人がいるのでしょうか」
「努力する人間には志がある。しない人間には志がない。その差だ」
道元の答えに弟子は大いに肯(うなず)き、欣喜雀躍(きんきじゃくやく)家路につく。しかしその晩、またまた疑問が湧いた。仏性のある人間にどうして志がある人とない人が生じるのか。
弟子は四度師の前に出て、そのことを問うた。道元は言う。
「志のある人は、人間は必ず死ぬということを知っている。志のない人は、人間が必ず死ぬということを本当の意味で知らない。その差だ」
道元の逸話である。この逸話を彷彿とさせる道元の言葉が、『正法眼藏随聞記(しょうぼうげんぞうずいもんき』にある。
続きは本誌で…。









