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2007年2月号:編集だより

2007年02月号INDEX : 編集長から | 目次 | ピックアップ記事

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青少年のいじめや自殺が大きな社会問題になっています。
向山洋一さんと門川大作さんの対談を通して感じたのは、
子どもたちの問題行動を云々する前に、
まず大人自身が行動を戒めなくてはならないということです。

対談でも触れられていましたが、
経済的に裕福なのに学校の給食費を払わない親が
増えているのはその典型かもしれません。

一方で「給食費を払っているので、子どもには〝いただきます〟と指導しないでください」
と教師に訴える親もいるとか。驚くべき現実です。

「五尺この身の始末がつかず、天下などとは滅相な」。
いじめ、自殺というと、とかく社会や学校の責任ばかりが問われがちですが、
私たち大人は自分たちの足下を見る必要がありそうです。(元)


93歳の現役野球審判員・伊丹寅吉氏に
お話を伺っていた時、取材中にもかかわらず
たびたび声をかけてくる人があった。
近頃、交通事故に遭ったということで、
隣の部屋で寝込んでいた奥様である。

「私は体が悪いから、きょうは何のお構いもできませんよ」

と初めに挨拶されたにもかかわらず、

「ちょっと兄ちゃん。悪いけど、帰り際でいいから
 食器棚の外れたガラス、はめていって」

とそれだけを言いに起き上がってきては、また寝込む。
20分おきに同じことが繰り返され、同じ依頼を3回も受けた。

そしてとうとう4回目。
「兄ちゃん。悪いけど、食器棚のガラスはめて。“いま”」
と、末尾に新たな言葉が加わった。

仕方なしに取材をいったん中断し、
台所へお邪魔してガラスを戸棚にはめ込んだ。
すこし離れて眺めてみると、指紋だらけで見映えがあまりよろしくない。

僕は一度はめたガラスを外し、ぞうきんの在りかを聞いて
ぴかぴかに磨き上げ、もう一度戸棚にはめ込んだ。

「まぁ、そんなことまでしてくれて……。うれしいわぁ」と、
とても喜んでもらえた様子だった。
その後、上機嫌になった奥様にカステラを詰めてもらい、
帰りは僕が道のかげに隠れるまで見送っていただいた。

審判員の方のお話もよかったが、いま僕の頭に浮かんでくるのは、
あの時の奥様の嬉しそうな表情である。
編集者もごく稀に、サービスを超える瞬間がある。(モ)


随想にご登場してくださった藤原咲子さん。
あの直木賞作家、新田次郎のお嬢さんでもあります。

今回は、母と娘について書かせていただきましたが、
この父と娘もとってもいいお話があるのです。
これは、藤原咲子さんが初めて書いた本『父への恋文』を
読んでいただけると、とっても分かるのですが、
たくさんの愛情と大きな温かいひだまりのような優しさが
二人の間にはありました。

父、新田次郎は、
「チャキ(咲子さんをこう呼んでいたみたいです)、
 お父さんが死んだらね、
 作家新田次郎はこんなふうにして書斎で原稿を書いていたっていうこと、
 ちゃんと覚えていて、しっかり作品に残すのだよ」
と言い、
咲子さんに、文章指導をしていたそうです。

「感動だけで書いてはダメだよ。
 なんでもかんでも書いてはダメ。
 感動から出発してそれを整理し、
 次に、糸くずまで捨てるぐらいの気持ちで思い切り削る。
 最後に、そのなかから絹糸1本だけを引き抜くのだよ。
 すると、研ぎ澄まされた何かが見えてくる、
 何を書くのかが見えてくる……」

咲子さんのご著書には、
作家、新田次郎のものすごい言葉ばかり。
編集者の卵にとても心響く言葉ばかりでした。

咲子さんは、いまこうして、
父、新田次郎がどういうふうにものを書いていたのか
『父への恋文』でしっかり父との約束を果たし、
一貫いた生き方をした方だと思う……。

ものごとを続けるには理由と意欲が必要で、
それを実践するためには無我夢中の開拓や、
意味のある我慢や、
振り返らずに突き進む強さも、
そして、
振り返ることができる強さも
必要なんだ・・・・・・。

一貫はこうしたものの積み重ねで成り立つものなのかもしれない……と感じる。(m)


「一貫」というと、
東山魁夷画伯の「道」という絵を思い出します。

遙か彼方は見えませんが、
目前にすーっとのびる一筋の道。
「ひたむきに生きていこう」と、
そんな気にさせてくれます。

今月号にご登場のみなさまは、
各々の道をひたむきに生きてこられた方ばかりです。
きっと読まれた方の心に何かが響くことと思います。

平成19年、新しい年がみなさまにとって良い1年となりますように!(Z)


料理の達人と武道の達人。

辰巳先生と宇城先生のご対談は、歩んでこられた道こそ異なりますが、
達人同士、お互いに通じ合うものがあり、
お話も盛り上がりとても中身の濃いご対談となりました。
興味深かったのは、お二人とも非常に心を大切にしてこられたこと。

宇城先生は師の教えである「心豊かなれば技冴ゆる」という言葉を支えに、
また辰巳先生は聖書からの学びである
「心を尽くし、力を尽くし、意を尽くす」ということを
一貫して心がけてこられたとのこと。
どのような仕事にも通じる普遍の教えです。

辰巳先生は「手塩にかける」という表現もされていますが、
いまの社会で軽視されがちなこういう姿勢を、
われわれ日本人がしっかりと保持することで、
日本の将来も開けてくるように思います(R)

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