2006年10月号:特集「いまここにある日本の危機」 【ご好評につき、完売しました!】
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松原泰道老師はこの11月で数えで100歳になられる。その松原老師から、出典は不詳だがこんな禅語がある、とうかがったことがある。
「家貧にして未だこれ貧ならず
道貧にして人を愁殺(しゅうさつ)す」
家が貧しいのはまだ本当の貧しさではない。道を求める心がなくなった時が本当に愁うべき貧しさであり、その時に人は滅ぶということだろう。
思わず、どきりとさせられる言葉ではないか。日本の現状を活写したような言葉である。
イギリスの歴史学者アーノルド・トインビーにもこういう言葉があると聞いた。
「一つの国が滅びるのは戦争によってではない。天変地異でもなければ、経済的破綻によってでもない。国民の道徳心が失われた時、その国は滅びる」――『歴史の研究』全25巻を著した歴史家の透徹した眼は、国家興亡の原理を衝いて鋭い。
この国は一体どうなってしまったのか。連日のニュースにその思いを強くする。30年を1世代というそうだが、1世代前には想像だにできなかったような事件のオンパレードである。まさに日本は崩壊の危機に瀕している、と思わざるを得ない。
いまここにある日本の危機を直視し、それに対処する方途を探っていかなければならない。
折しも、弊社刊行の安岡正篤著『一日一言』が八重洲ブックセンターで6週連続総合1位の記録をマーク、現在も健闘している(8月19日現在総合1位)。日本はこのままではいけない。多くの人がそう思い始めたことが、この動向に現れていると信じたい。
その『一日一言』に「萬燈行(まんとうぎょう)」と題する一文がある……。










