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香川県高松南警察署の刑事・ 國方 卓様からのお手紙


香川県高松南警察署の刑事・國方 卓(くにかた たかし)様から著者・鍵山秀三郎先生に寄せれたお便りの一部をご紹介致します。
香川県高松南警察署  國方 卓警部補  あとからくる君たちに伝えたいこと
香川県高松南警察署
 國方 卓警部補
あとからくる君たちへ
伝えたいこと 


 
私が刑事として、最近担当した被疑者との出会いが、私の刑事としての考え方を変える出来事となった。
この青年は、二十歳代前半で心が本当に荒んでいた。背中には刺青が入っており、過去にも罪を犯して、執行猶予中の身であった。
結婚はしていないものの、親身になって世話をしてくれる彼女がいるが、その彼女にも暴力を振るうこともあった。
そしてある日、その青年が事件の被疑者として逮捕され、私が取り調べることとなった。
今回の逮捕によって刑務所に行くことは確定的であったことから、青年は取調べでは「好きにしろ、俺は何もやっていない」と荒んだ心で喚き散らしていた。私はこの青年の生い立ちを知るにつれて取調官として何とか、心を開かせてやれないものかと考えた。
彼は幼少のころ両親と別れ、祖母に育てられるが、中学校すら満足に通っておらず、心の温かさを知らずに育っていた。
私 はこの青年に、尊敬する鍵山秀三郎さんの著書『あとからくる君たちへ伝えたいこと』(致知出版社刊)を読むことを薦めた。
この本には私が鍵山さんから直接「心温かきは万能なり」と書き込みを頂き、鍵山さんは私が刑事と知った上で「心の荒んだ人達に一回でいいから『人からありがとうと言われてみなさい』と言ってあげてください」と言ってくださった経緯があった。 私がそんな話をして本を手渡すと、彼は一時間くらいかけてじっくり本を読んだ。
そして読み終わると、ポツリとこう言った。
「この本に書いてあること、何一つ俺にはできていない」
その目には涙が浮かんでいた。
そして「ごめんなさい、私がやりました」と、それまで否認していた彼が、全面自供に転じたのである。
それからは別人の様に穏やかな顔付きになった。
本を読み終わった彼に、私が「掃除に学ぶ会」に参加していることを話すと、 「私も参加することができるようになれますか」と真剣に聞いてきた。
彼の背中には刺青も入っており、これから数年間、刑期に服することになるのは確定的だ。
私は一言だけこう言った。
「それは君次第だよ」 彼の目には涙が滲んでいた。それまでの彼は、祖母に嘘ばっかりついて迷惑をかけ、彼女には暴力を振るって悲しませ、取調べの刑事には、「もう、しない」と言うものの、すぐに舞い戻ってくる状態だった。
その彼がトイレ掃除に参加してみたいと言い出したのである。
それからの彼は、すさまじく変わった。
そして、彼女と祖母が面会に来たとき、 「ごめんなさい」と素直な気持ちで謝罪し、面会に来てくれたことを「ありがとう」と感謝の言葉で表した。
 面会した二人は、共に彼の顔つきが少年のように変わっていると驚きを見せた。
間違いなく彼は更生に向けての道を歩みつつあった。
そして彼は、これまでの被疑者では見たことも無い笑顔で拘置所へと巣立って行った。
その後、鍵山さんから私に二通の手紙のコピーが届いた。
それは、彼と彼女が鍵山さんに宛てた感謝の手紙のコピーであった。
 
 


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