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もっと本物に出逢いなさい

歌手の小澤綾子さんが筋ジストロフィー
と診断されたのは二十歳の時でした。

いくつもの苦難を経て
小澤さんが歌手として歩み始めるまでの
話の一部を紹介します。

───────「今日の注目の人」───

☆ いまを精いっぱい生ききる ☆

小澤 綾子(歌手、会社員)

※『致知』2017年4月号
※連載「致知随想」P85

───────────────────

堪え続けた違和感の正体が
ようやく判明したのは、
二十歳の頃。

手すりなしで階段を上れなくなると、
私は覚悟を決めて、
大学病院に行きたいと両親に伝えました。

再検査で告げられたのは、進行性の難病、
「筋ジストロフィー」という病名でした。

一時は自分の違和感が証明されたことに
ホッとしましたが、

「具体的な治療法も薬もありません。
筋力はどんどん衰えていき、
十年後に車いす、
最終的には寝たきりになるでしょう」

と告げられると、私の心は
凍ったように冷たくなりました。
将来への不安、
思い描いていた夢を
諦めなければいけない現実に、
もはや自分は何のために生きているのか
分からなくなってしまったのです。

それから三年間ほどは何も手につかず、
ぼーっとした日々を送りました。
 
転機になったのは、
リハビリの先生との出逢いでした。
当初は

「どうせ病気を治せないのに」

などと斜に構えていた私でしたが、
病院に行く度に、
同じ病を抱えながらも
世間で活躍する方の話や、
ご自身の体験談を聞かせてくれ、
私をなんとか励まそうとしてくださる姿に、
少しずつ信頼が芽生えたのです。
 
とりわけ先生の言葉の中で
私の心を大きく変えてくれたのは、
次のようなひと言でした。

「そんなに下を向いてばかり、
暗く生きていたら、
あんたの周りには誰もいなくなってしまうよ。
一人寂しく死ぬのかい?」
 
その言葉にハッとされられた私は、

「なんとか先生を見返したい。
車いすになる前にやりたいことを
全部やってやろう!」

と決意。海外旅行を皮切りに、
語学留学やダイビングのライセンス取得など
やりたいと思っていたことに
挑戦し始めました。

挑戦の度に先生に報告に行きましたが、

「もっと本物に出逢いなさい」

「もっと将来を見据えて深く行動しなさい」

と、なかなか褒めてくれません。
それでも挑戦を続ける中で、いつしか……

※小澤さんのその後の歩みは
 ぜひ本誌でお読みください。

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